BOOK(牛頭雪)

□陽光-hikari-
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山の朝は涼しい。

特に若い草木が強く香るこの季節は、つららも好きだった。

朝餉にしようと笊(ざる)に集めた山菜を抱えて、野道を進む。

嫁入り先のこの生活にも、すっかり慣れてしまった。

腹をすかしているであろう、なかなか気のいい武闘派の面々を思い浮かべて、つららは一人微笑んだ。

少しだけ開けた木々の間からは、靄のかかった峰が見える。

なんとも幻想的だ。

しばらく歩くと、鳥たちの鳴き声に混じって、違う音が聞こえてきた。

水の音だ。

つららは導かれるように、足を進めた。



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