BOOK(過去拍手)
□甘いチャイのような
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あなたといる時間は、まるでチャイみたい。
甘くて温かくて、ちょっぴり刺激的。
「リクオ…くん」
私はためらいながら呼ぶ。
「ん?」
すると、いつも自信に満ちた笑顔で振り向くの。
切れ長の目を細めて、色っぽい唇の端をぐっと上げて。
その表情で人をドキドキさせてること、知らないんでしょう?
「カナ」
あぁ、また。
そんな風に呼ばれると、返事をせずにはいられない。
呼び捨てがいやな訳じゃない。
ううん、むしろ呼び捨てで呼んでほしい。
あなたの『特別』になった気がするから。
ずっと一緒にいた友達は、ずっと会いたかった憧れの人だった。
だからって何かが変わる訳じゃなくて。
例えどんな姿でも、あなたはあなた。
でもやっぱり…。
「カナ、おいで」
…うん、なかなか慣れない。
あなたといると、甘くて温かい。
そして少しだけ刺激的な、チャイみたいなほっとする時間。
《後書き→》