BOOK(過去拍手)
□牛にご注意
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よく晴れた日曜。
こんな日は、絶好の洗濯日和だわ。
「よいしょっ、と・・・」
洗い立ての衣類がいっぱいつまったかごを抱えて、物干し場へ向かう。
その時ちょうど部屋からリクオさまが出てきて、私の腕の中のものを見て目を丸くされた。
「今日はやけに多いね。手伝おうか?」
「いいえ!これは私の仕事ですから」
「そう。・・・あ、つらら!」
二・三歩歩いたところで、私は振り返った。
そしたらリクオさまは、私の大好きな笑顔でおっしゃったのだ。
「転ばないように、ね」
ちゃんと自分を気にかけてくれているんだ。
背を向けて歩き出すリクオさまに、私は精一杯の声で返事をした。
(なんてお優しいんでしょう・・・)
ウキウキしながら、沢山の洗濯物を次々と干していく。
「さすが雪女殿。動きが早いですね」
「ふふっ。これくらい、どうってことないわ。あなたもやる?」
「いやいや、おいらはそういうのは苦手で」
なんて会話をしているうちに、終わってしまった。
「さ、次は掃除!」
後ろからエールを受けつつ、私は母屋へ向かう。
そこまではよかった。
廊下を急ぎ足で戻る途中、牛頭丸と出くわしてしまった。
今日もまた嫌味が飛んでくるかと身構えていると、彼に手を掴まれてその場で壁に押し付けられたのだ。
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