BOOK(過去拍手)

□ヒトリジメ
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「んっ・・・」

牛頭丸が首筋に顔を埋めてきたものだから、なんとも言えない感覚になる。

「ちょっ・・・みんな、見てるから・・・っ」

真っ昼間、庭のど真ん中で仲良くしていれば注目を集めるのは当然だ。

実際に数名と目が合ってしまって、つららは慌てる。

「牛頭丸!!いいかげんに――」

しかし言葉を最後まで発することは許されず、唇を彼のそれで塞がれてしまった。

「そりゃ、こっちには好都合だ」

反論する隙もなく、また噛み付かれた。

歯列をこじ開けられ、ねっとりと舌に絡んでくる。

視界いっぱいに整った顔、お日様を浴びた着物の匂いが鼻腔をくすぐり、水音が鼓膜に響く。

彼の熱い体は自分には辛すぎるのに、出来るのはしがみつくことだけ。

ようやく離れた時には腰も膝も言う事を聞かなくて、ずるずると崩れるのを牛頭丸に支えてもらう羽目になった。

「リクオに伝えとけ」

それと同時にふわっと抱き上げられた。

「こいつは俺のものだってな」

朦朧とする意識の中で、牛頭丸が周囲にそう宣言するのを、つららは聞いた。



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