種、種運命短編作品庫

□パティシエは必要?
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屋敷に着いたのは夜の11時過ぎ………

結局……

アスランの誕生日を祝ってあげられるのは、あと一時間もない


………で


「何で真っ暗なんだ?」


パーティーの準備をしてくれているはずのキラとラクスは?

イヤ、それより屋敷にいるはずの数人の使用人すら見当たらない

アスランだってとっくに仕事は終わってるはずだ(今日はモルゲンレーテに行ってたはず)

それなのに……


いつも誰かが迎えいれてくれるドアを自分で開ける

ガチャリと玄関のドアを内側からかけると


「あら、お帰りなさい、カガリさん」


玄関の照明だけをつけて、ラクスが出迎えた


「………ただいま……ラクス?これはどういう事だ?」

私はラクスの顔を確認してすぐ彼女にそう聞く


「ウフフっ、演出ですわ!!さぁ、コチラにおいでになって」

そう言って私の肩を押すラクス

ゲストルームに案内され、彼女が電気をつける

テーブルにはちゃんとケーキとご馳走が並んでいて、ちゃんと装花の飾りもしてあって準備万端だった


「さぁ、カガリさんはコチラをおめしになって」


そうして渡されたパールグリーンのワンピース


「あ……うん…」


まぁ、誕生日くらい………こういうのも悪くないかな………

そう思って、ワンピースに腕を通す


「なぁ?ラクス?それで例のデザートって………」


着替えを手伝ってくれるラクスに私は尋ね始める


「はいっ、そうですわね」


そう言って彼女は、私の髪にリボンをつけながらニコニコと笑った


 





















【〜その時アスランは〜】


「……あの………」



「申し訳ありません、アスラン様っっ!!」


そう言ってメイドの一人は謝りながら、ベッドにグルグルと縄を巻き付け、俺を縛り付ける


「こんな事しなくても……逃げませんって………」


だいたい……この現状を上から操っているのは……


「アスランっ、なかなか面白い恰好してるね」


「お前の命令だろうがっ!!」


ドアから楽しそうにコチラを見下ろすキラに俺は怒鳴った


「えっ?侵害だな、違うよ!!僕はただ『カガリが帰ってくるまで、アスランがベッドから離れない様にしてくださいっ』って言っただけだよ」


「………完全にお前の命令じゃないかっ……」


縛り付ける以外にどんな選択が?



「だいたい、何でベッドなんだっ!!」


カガリを待つくらいどこでだって良いじゃないかっっ

て言うか、何でゴミ箱覗くんだっっ





「箱テッシュ、残り少ないよ………寂しいね……」



「ほっとけ!!!!」


 
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