種、種運命短編作品庫

□パティシエは必要?
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【パティシエは必要?9】



月明かりの部屋


私はそっと振り返る


微かに人の気配がして、恐る恐る尋ねる


「………ア……スラン………?」


そうして答えを待つ


「………カ……カガリ………?」


返ってきた言葉の主は、予想どうりの声でホッとする

どうやらベッドの上に座っている様なので、私は近付いた


「明かりもつけないで何をやっているんだ?」


「……付けないって言うか……付けられないんだ………」



何を言ってるんだ?

そう思って更にアスランに近付くと……



へっ………?



「……だから……付けられないって言ってるだろ………」


頬を染めたアスランは、ベッドに座っているのではなく……縛りつけられていた



「何を……しているんだ……お前は………?」


「………俺が一番聞きたいよ……」


げんなりしてアスランは言う



「とっ、とにかくっ今ほどくからっっ」


「………あ……すまないっっ」


私はアスランの後ろに回って縄をほどく


「て言うか、お前ほどの奴がなんでこんな事になってるんだ?」


素朴な疑問を彼にぶつけてみると……


「……アスハ家の人達だから……逆らえなくて……」



………やったのは……ウチの使用人なのか………

私は顔を歪めてふとベッドのシーツを見た

鼻に霞める花の匂い


………バラの花弁…………?



「っっ………なんか……部屋も異様だな………」


私の顔がどんどん熱くなっていく


「……赤いバラ……勿体無いよな………」


どうやら使用人達がベッドにばら蒔いていったらしい



なんなんだっっ!!!

みんなして……


これじゃ……私が馬鹿みたいじゃないかっ!!!



















【〜その時にアスランは〜】


月明かりの部屋


俺はじっとその時を待っていた

時計はとうとう23時を回る



カガリは……本当に帰ってくるんだろうか?


もしかして!!


やっぱり急に帰れなくなったとかで……

本気であのモミアゲの馬鹿にホテルに連れ込まれていたら……


カガリが危ないっっ!!

カガリの操がっ!!

ふざけんなよっ!!

もしそんな事あってみろ……俺は証拠も一切残さずあのムラサキを暗殺してやる





「………ア……スラン………?」


ドアがあいて、人の気配を感じたら……彼女は呟いた



「………カ……カガリ………?」


カガリっカガリっ……カガリだっ!!!


俺のカガリだーっ!!!←テンション壊れた


直ぐ様抱き締めたい衝動にかられるが………動けない

腕………どうなってるんだ………



「明かりもつけないで何をやっているんだ?」


「……付けないって言うか……付けられないんだ………」



付けられるもんならスグに付けてカガリを確認する!!

て言うか押し倒す!!


しかし……

よく考えてみれば、この姿はかなりカッコ悪い


縛りって………SMじゃあるまいし



これじゃあ俺がマゾみたいじゃないかっ!!←絶対その気はあるが本人は否定する
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