種、種運命短編作品庫

□そのあとで
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「カガリっっ!!」


どうしても……我慢できなくて、アスランはカガリの左手首を掴んだ


「アスラン?」
きょとんとしたカガリ

「な……アスラン?」
驚いた表情のイザーク


「……イザーク……カガリを助けてくれて有難う……俺からも礼を言うよ」

そう言っているアスランの顔は、お礼を言っているにはしかめっ面で………



「俺はカガリに用があるから……また後で……」

「えっ?おいっ、ちょっとっ!!」

そうしてアスランは、掴んだままのカガリの手首を引きその場を離れていく



イザークとディアッカは呆然とその様子を見つめた

「何だあれは?」

イザークの言葉にディアッカは吹き出す

「おっもしれーっ!!後で冷静に戻ったらからかって遊ぼっ!」



あんなアスランは今まで見た事がなかったから






「おいっ!!アスランっ!?何?何だよぅ!?」


きつく掴まれた腕に、何事かとカガリはアスランを見つめる

無言で怒ったような顔で此方をみようとしない


(何………?何で?)


ジワリと涙が滲んだ






ロッカールームについて、アスランは部屋に入るいなやドアを激しくしめた



突然……

ずっと掴まれたままの腕を、離したとカガリが理解した時には彼の腕の中にいた


「………アスラ…ン…」

きゅうっと音が聞こえるかのように、彼は彼女を強く抱き締める




「馬鹿だよな………俺は………」

呟く様にアスランはいう


「アスラン………?」

胸の中にいたカガリは、見上げて彼の顔をみた


「あの時………死んでいたら………こうして君を抱き締める事も出来なかった……」




初めての口付けは
別れの口付けだった


その後の事なんて

多分考えてなかった



だから

こんな風に嫉妬する感情が自分の中にあるなど………


考えもつかなかった
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