種、種運命短編作品庫

□プリズムダイアリー
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5月8日
アラスカ、都市ジョシア

六年前のサイクロプスの影響で
『死の街』
と言われた場所

様々な国の協力で、漸く草木が生えるようになり、今日は平和記念式典が行われていた


歌姫ラクス・クラインの歌声に各国の要人達が酔いしれている中で………



「アスラン………顔がオカシイ………」

キラにそう指摘される


「………どういう顔をしたら良いのか解らないんだ……」

アスランは顔をひくつかせた





話は数時間前に戻る

ようやく託つけた、先伸ばしになっていたカガリとの婚約

彼女の隣に立つ……その力と地位を手に入れたアスランは、ようやく政府や市民を納得させるだけの業績をあげた

婚約をキチンとして
日を改めキチンとした形で式を挙げる

意外と拘っているのはアスランの方で……



だから
まさか……



『子供が出来たから結婚してくれ』



よもやカガリから、そんな爆弾を落されるとは夢にも思わず……



「男としての俺の立場はどうなるんだ……?」



聞けば彼女は式も挙げたくないと言う

世界情勢がまだ混乱している今、私事で大それたパーティーなど開きたくない

そんな金があるなら、貧困に苦しむ人達に使いたい

そんな風に言われてしまえば、


『そうか。解った』


と二つ返事してしまう自分



「素直に言えば良いのに……」

「えっ……?」

ぼそりと言ったキラの言葉に、アスランは首を傾げる


「俺の為にウェディングドレスを着てくれないか……?ってさ」

「なっっ!?」


その言葉に顔を赤らめるアスラン

そんなアスランを見て、キラはクスクスと笑い

「言葉が足りないんだよ……君も、カガリもね?赤ちゃん……嬉しくないの?」

そう尋ねる


「嬉しいさっっ!!そんなのっ、嬉しいに決まってるだろっっ!!」


何を言い出すんだと、アスランは眉をつり上げた


「だから……そう言うのがちゃんと伝わってないって言ってるんだよ?ホラ、カガリの顔見てみなよ?」


そうキラに指摘されて、アスランは来賓席に座るカガリの顔をみた


確かに

彼女が不安めいた顔をしている

そんな気がした




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