種、種運命短編作品庫

□月と桜の初恋
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『初恋は実らない』


昔から良くそう言ったモノだ

自分にとって、初恋と呼べる出会いはあっただろうか?



あんまり覚えていない



初めてキラに会った時は……何故か特別な感じがした


そうアスランに言ったら


『じゃあ、カガリの初恋はキラだったんだよ』


彼はそう言った



本当に……?

そうなんだろうか?



答えを見つけなきゃいけない理由はないけど………












月面基地『コペルニクス』


5各国協議の今回の舞台は此処になった



「カガリはコペルニクスは初めてでは無いんだよな?」


今日は、護衛として配属された軍の総責任者を任されているアスラン

准将の姿も随分貫禄がついてきて、カガリの隣を堂々と歩く


「初めてではないよ?アスハの私有地も有るんだ」

「へぇ……初耳だ」



カガリはそっと指を差した


「ほら、彼処から桜並木が続くだろう?あの一番奥に別荘があったんだ」


エレベーターから見える景色にアスランは目を細めた


「桜並木………まだ有るんだ……」


戦争をいくつも繰り返して、月面都市はいつの間にか軍事基地になってしまったから……

あの頃の思い出の欠片がまだ残っている事に、アスランは安らぎを覚える


「そっか……アスラン達もコペルニクスに住んでいた時期があったんだっけ?」


そうだ……

此処でアスランとキラは無二の親友になったのだから


「うん……四歳の頃から数年間ね……あの桜並木……よく通学に使ったよ……」


アスランが懐かしそうに微笑んで、カガリは嬉しくなった


コペルニクスには小さな頃よく遊びに行った

決まって自分の誕生日前後だったから、よく覚えてる


「なぁんだ、私達……もしかしたら一度くらいすれ違って居たのかもな」


カガリはそうして笑った



 
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