種、種運命短編作品庫
□偽りと真実の月
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「カガリのしたい様にすればいいよ……」
キラはそう言って微笑む
《デスティニープラン》の導入を発表したギルバート・デュランタルに、世界は混乱をしていた
「もう………彼を止める術はないのかな………?話し合う事もムダなんだろうか………」
私が苦虫を噛んだような顔をするから、ラクスは優しく私の手をとった
「……国を支えるのも一つの選択……宇宙(そら)で自ら彼を説得しに行くと言われるなら、カガリさんの立場なら誰も反対しませんわ」
そうしてラクスはアスランに視線を向ける
壁に持たれて腕を組んだまま考え込んでいたアスラン……
その腕を緩め、アスランはふぅ……と溜め息を付き、そして小さく笑みを浮かべた
「カガリが……デュランタル議長の所に行くと言うなら………」
彼はじっと私を見つめる
「………アスラン……」
私も彼を見つめる
真っ直ぐに………
「……俺が守る…………何があっても……君だけは死なせない………」
そうして彼は頭に巻いていた包帯をスルスルと外した
その様子を見てキラとラクスは見つめあい微笑む
国を立て直すのも大事だ
だが……じっとしていられないのも事実
私はキサカと滞在期間の条件付きで、アークエンジェルと共に月に上がる事にしたのだ
月面都市コペルニクス
その昔、人はプラントを作り上げる行程に行き着く前に、月に移住する為の都市を作った
初めは……そう
誰もが行き来出来る楽園の様に
しかし十数年たった今、その場所は………
巨大な軍事施設へと姿を変えてしまっていた
楽園であった時間が嘘であった様に
真実の月の色は冷たい輝きを放っていた