種、種運命短編作品庫

□if〜3.8〜
1ページ/9ページ



君の傍に居続けたいから

俺はその力をつける



そう誓って幾日か過ぎた頃……




「婚約者………また?」


俺は目を白黒させた


「うん……ユウナが死んだ今、新たにそう言う話があるらしくて……私としてはそれどころじゃないんだけど……」



ようやく停戦を迎えて、ザフトの攻撃によって被害を受けた地域も安定してきた頃、またカガリの身にそう言う話が浮上したと言うわけか……



「ふふふっ……」


カガリは俺の顔を見て思わず笑う


「なっ……何だよっ……?」

急に気恥ずかしくなった


「イヤ……一応嫌な顔をしてくれるんだなって思っただけだ……」



ああっ

くそっっっ



そう言ってカガリが笑うから……

俺は彼女を引き寄せ抱き締めた



「なっっ!?何だよっ、急にっっ」


カガリはぼぉっと顔を赤くした


「もう我慢しないって決めたので……」

俺はそう呟く




一線を越えてしまえば、もっと冷静になれるモノだと思っていた


所が何だ

この有り様はっっ


彼女の全てを知って

その想いは留まるかと思えば


加速するばかりだ



もっと

もっと欲しくなる



自分がどんなに貪欲で、理性が効かない人間か想い知る



「明日……レセプションパーティーだろ?ドレスは着るのか?」


「そうだな……」

腕の中でカガリはそう言った



カガリは以前の様に正装する事を拒まなくなった



『姫だと言われる事に怒ってる様じゃ……私はまだ子供だって事だから……』


そう言った彼女の意識の変化は頼もしくもあったけど……

いらない心配も湧き出してしまう


今まで見向きもしなかった各国の要人達が、淑女に成っていく彼女に興味を持ち始めているのだ



『ドレスじゃなくていいのか?』



なんて言ってた自分が懐かしい


彼女を男だと思った出会った頃が懐かしい



ああ……そう言えば


彼女と初めて出会った季節は

今頃だったな……




そう思った



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ