種、種運命短編作品庫
□星空聖夜
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「国民の半数が多民族のこの国で、そんな事は今更たいした問題じゃないだろ?」
確かに……
ハウメア神が浸透しているのは、殆どが首長衆だけだ
ユウナ・ロマはこれを機にカガリとの距離を縮めようと躍起になっているのだが……
「だいたい、この国はクリスマスもやれば正月だってある。勿論、バレンタインだって……」
そうしてユウナ・ロマはチラリと俺の顔を見た
多分、『血のバレンタイン』を気にしたんだろう
わざと話に出した様にも見えたが
「ねぇ、カガリ?じゃあせめてクリスマスパーティーくらいはしよう。君にちゃんとしたプレゼントも贈りたいし」
そうしてユウナ・ロマンは諦め悪く、またカガリを誘う
「……プレゼントなんて……」
「まぁ、雪の降る土地でのホワイトクリスマスは諦めるが……満天の星空の下でのクリスマスも、ロマンチックだし、悪くない……」
オーブは赤道にほど近い国だ
よって、クリスマスであっても暖かい
天気が良ければ、星が確かに綺麗に見える
「星に誓って君が一番欲しいモノを贈ろう……何が良い?リング?それともネックレス?」
そうしてユウナ・ロマはカガリに訪ねるが
「………なんでも良いよ………私は帰るっ……行くぞ、アレックスっ」
「はいっ、代表………」
結局カガリはそう言って、行政府をあとにした
「セッティングしておくからなっ!!」
後ろで叫ぶユウナ・ロマの声を背に、カガリは大きな溜め息をつくのだった