種、種運命パロディ作品庫

□瞬間
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君と出会ったのは

雪の降る寒い日だった


ただ一瞬



君の涙に心を掻き回され

君の笑顔に心を奪われた



君は俺ほどあの出会いを意識していないだろう?


それでも………









ばこっ


「痛っっ!!」



窓の外を舞う桜の花弁

ぼーっと眺めていたアスランの頭に、キラは今日購入したばかりの教科書を数札落とした

「何をするんだっ!?キラっ!!」

当然の様にアスランは怒る


「入学式始まるよ?アスラン、学年総代なんでしょ?先に行かなくちゃいけないんじゃないの?」
そうキラは尋ねる


アスランは溜め息をついて、ゆっくりと立ち上がった



「そうだった………はぁ……なんか、どうでもいい……総代なんかめんどくさいだけだ」


アスランはやる気がなかった


「何?君……合格発表の日は、滅茶苦茶ハイテンションだったじゃない?なんでそんなに暗い訳?」



「………言いたくない」

そう言うキラにアスランはプイッと顔を背けた



アスランが入学式早々沈んでいる事には、訳があった


だがその事を、幼馴染みで親友のキラには、伝えられないでいる


ただ単純にからかわれるのも癪だった……と言う訳もあるのだが……


「もしかして、入試で一目惚れした子が来ていない……なんて?」


「なっっ!?」


アスランは後退りするように驚いた
でもその顔は真っ赤で、キラは確信を得たと考えた



「何でって顔してるね?だってアスランって意外と顔に出るから……」

「うっ嘘だっ!!」
アスランはそう言って狼狽える


こんなアスランは今までも珍しく、キラは思わず吹き出した


「くくくっ……まぁ……安心して?気付くのは僕とラクスくらいだよ……」

「………えっ……?」
そのの言葉にキラの顔を見る

そして何時もと違う異変に気付く

どういう訳か、キラも元気がなくて……


多分それはアスランだから気付くのだろうけど……


彼の沈んだ顔を久し振りにみた気がした


「僕もね………ずっと待っていた子が、どうも来てないみたいで………振られちゃったかなぁってさ……」



待っていた子?

お前はラクスと付き合ってるじゃないか?



そう思いアスランは首を傾げた


「約束だったんだ……」

伏し目がちにいうキラに、アスランは驚いた


今まで見たことのない、彼の横顔だったから


 
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