種、種運命パロディ作品庫
□チェリーブロッサム
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桜香る春
「ふー……荷物結構あるんだな……」
山積みにされたダンボールを眺めて、アスランは溜め息を着いた
今日から暮らすこの『暁荘』はオーブ大学の推薦アパートで、住んでいる住人は皆大学に通う学生ばかりだ
外装もそれほど古い訳じゃないし、都心部なのに1DKのアパートで4万円代ってのは正直有難い
バイトをすれば、親に仕送りなんて殆ど頼まなくて済む
「あ……ヤベっ、バイトの面接の時間だっ」
アスランは上着をはおり、外へ出た
面接は午後2時
随分前から目をつけていたファミリーレストランに足を運ぶ
レストランについて、ドアを開けようとしたら、ドアは勝手に空いた
「あっ……ごめんっ」
ふと飛び込んでくる金の髪
「あっ……いえ……」
アスランが通り道を空けるように避けると、その人はアスランを見て微笑んだ
「有難う……」
(うわっ………可愛いっ………)
見上げたその子は自分と年の変わらない女の子で……
大きな目がとても印象的だった
「面接希望のザラくん?こっちいい?」
そうお店の人に奥で呼ばれて
「あっ、はいっ……」
アスランが頷く
それを聞いていた女の子はアスランの袖口を引っ張って……
「頑張って……」
一言そう言った
桜香る春
それが彼女と彼の出会いだった