種、種運命パロディ作品庫
□時計塔
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街の中心にある時計塔
好きな人と其処に登って、愛を伝えたら………
その愛は永遠になる……
そんなロマンチックな話……
私が信じてるなんて
お前は知らないんだ
私の想いは
お前の想いは
まるで時計の針の様
追い付きたくて
手に入れたくて
ずっと同じ方向に回ってる
回ってる
回ってる
回ってる
私の想いを知らないお前は彼女を追いかけ
お前の想いを知らない彼女は彼を追いかけ
彼の想いを知らない私はお前を追いかけ
回ってる
回ってる
その針は、誰かが足を止めない限り時計回りに回り続けるから……
「アスランっ、キラっ!!おはようっ!!」
マンションの玄関で待ちわびていた二人に、カガリはいつもの様に朝の挨拶をした
「おはよっ!!カガリっ、進路調査表書いてきた?」
いの一番にキラが聞いてきたのはその話
「まぁ、何となく……」
カガリは相づちをうつ
「カガリが行きたい高校選べばいいんだよ?どうせ別の学校に行ったって、毎日こうして会えるんだし……あ、おはよう、カガリ」
そう言ったのはアスラン
三人は同じマンションに住む幼馴染み
ずっと小さい頃から一緒で、兄弟の様に育って来た
そんな三人も今年はとうとう中学三年生
受験の年だ
この街には高校が五つもあるから、自分のレベルややりたい事に合わせて学校も充分選べる
でもどの学校に行ったって、家には戻ってくるんだから………
そう言う事なんだろうけど……
「うん、そうだな……アスラン……」
カガリはそうして笑う
いつものように
だけど………
(でも……私………来年の春にはここには居ないんだよ………アスラン………)
カガリは心の中でそう呟いた