種、種運命パロディ作品庫
□お隣同士《恋人同士》
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物心ついた時には特別だったのかもしれない
生まれた時からずっと一緒だったのに
気がついたら一人だけ違ってた
他人だった
喧嘩とかしてもキラ兄なら本当の兄弟だし
シンなら幼なじみだし
次の日になればお互いケロッとしてるから、喧嘩が長引く……なんて事はない
絶対にそんな事で壊れたりなんかしない
そんな自信もあった
なのに……
私はいつもアス兄には、一歩下がった態度になってしまう
だから、彼が『隣りのお兄さん』ではなく『自分の好きな人』だと自覚したときには、些細な喧嘩すら出来なくなった
………嫌われるのが怖かったから
それはキッカケだった
『キスして………』
そう言った私に、いっそ
『何をバカな事言ってるんだ』
と叱りつけて欲しかった
でも
考えてみれば
アス兄に怒られた事なんてなかったんだ
いつも
『カガリはしょうがなぁ…』
って笑って、頭を撫でてくれる
いつからだろう?
それが子供扱いされてる気がして
とても
とても
嫌だった
だって私
ずっと
『隣』に居たかったんだもん
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