種、種運命パロディ作品庫

□君の言葉は世界を変える
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朝、登校で乗るいつもの電車


4月から乗り始めて一年の3分の2を過ごせば、だいたい同じ車両に乗っているメンバーは決まってくる


斜め前の席にいるザフト校の制服の彼


いつも決まって何か難しそうな本を読んでいて……


視線をすこし下にした長いまつげ


男の子なのになんだか綺麗って言っちゃいそうな顔立ち


同じ車両にのる女の子達にも注目されてて、でもそんなのどうでもいいって感じで



季節が巡って……


雪がちらつく季節になっても、なに一つ変わらない彼




ずっとずっと気になって

ずっとずっと同じ斜め前の席に座っていた


時折、彼の隣に誰も座ってないと、電車の窓ガラスに自分の姿が移って……

隣に乗っている様な気分になる



それだけでもいいと思ってたのに……






何時もの電車


間に合わないかと思って必死に走る



電車に飛び込んで、自分がバランスを崩しそうになった時


引っ張った男の子の手



「駆け込み乗車……危ないよ………?」



うわ……


うわっ……………




声…………初めて聞いた………




「ごめんなさい………………あ………ありがとう………」



そう言ったら彼は少しだけ笑みを浮かべた



今日に限って、彼は座席に座らず吊革を握っていた


彼の定位置には大きな荷物を持ったお婆さんが座っていて………なんとなく状況が読めた




とくん………とくん………



どうしよう………




彼との距離が近すぎる


こんなの…………



そぉっと見上げたら、彼は流れる景色をじーっと見つめていた


ああ…………


やっぱり………………



スキだ…………







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