+小説+
□だって好きなんだ。
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頭がボーッとする。
何が起きてるのかよくわからない。
ただ理解出来るのは、目の前に沖田がいて、心配そうにこっちを見ている。
そして自分は何故か気分がいい。
「一君?大丈夫・・・?」
沖田が覗き込んでくる。
「あー・・・そうじー」
クラクラする頭で総司に抱きつく。
「え、ちょ!?は、一君・・・」
焦る沖田の後ろで、呆れたように藤堂と原田が話しかけてくる。
「あー斎藤がここまで酒に弱いとはなぁ」
「一君、かなり飲んでたからね・・・」
事は3時間前に遡る。
巡回から戻って来た新八たちが、長州の浪士たちを捕らえたという話が入ってきた。
そのまま引き渡し、その浪士たちがかなり立場の上の人物という事が判明した。
という事で、今晩は酒盛りで盛り上がったのだ。
斎藤は普段からそこまで酒を好まず、自ら飲む事もしない。
しかし、原田や藤堂に勧められるままに飲んでしまっていた。
「ん〜そうじーー」
「うわー完全に酔ってるね・・・」
「ああ、まさかこんな風になるとはな・・・」
2人は悪びれも無く言う。
どうしようか、と途方に暮れている沖田に斎藤が潤んだ瞳で見つめてくる。
「そうじー大好きー」
!!!?
3人共驚いて目を見合わせた。
「こりゃーどうしようもねえな」
「まかせたぞ」と言いながら藤堂の肩を抱いて「ほら、行くぞ」と言うと手を振りながら行ってしまった。
藤堂が「何するんだよっ」と騒いでるのが聞こえる。
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