+小説+
□君しか見えない。
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「あー暇だぁー!」
「ホント、今日は何も起きないよねー誰か騒ぎでも起こしてくれないかなぁ」
「ったく、何事も平和が一番じゃねーか」
今日の巡回は沖田、藤堂、原田の3人。
晴天の空の下、町人たちが忙しなく行き交う。
原田の言う通り何事も無いのが一番なのだが、藤堂や沖田にとっては少々物足りないようだ。
面倒くさい事件は嫌だが、多少の刺激が欲しい年頃なのだ。
「ん〜〜もうちょっとで終わりだねー」
「なーなー!何も無かったし、団子でも食って行こーぜ!」
「おい、副長にバレたらまた怒鳴られるぜ」
「僕も団子食べたいなーそれに一君にも買って行ってあげたいし」
「出た!総司の一君好き!」
他愛の無い会話をしながら茶屋に寄り、その場で食べると時間を食うので買って帰る事にした。
非番のみんなにも配りたいしな、原田も乗り気だった。
「たっだいま〜〜」
無事何事も無く巡回も終わり、夕方には帰ってこれた。
屯所に着くなり団子を片手に食堂に向かう。
「みんな〜〜団子買ってきたぜーー!」
その場にいた数名が喜びの声をあげる。
早い者勝ちといった勢いでみんなそれぞれ好みの団子を手に取っている。
「おい、幹部の分は残しておけよ」
原田の言葉に「やばっ」と言いながら取り分ける。
ちょうどその時、食堂の襖が開いた。
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