盲音の第三譜歌

□ゴーシュ 〜不器用に〜
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 遺跡の中は外より涼しい。

「パッセージリング〜♪ パッセージリング〜♪」

 アニスがパッセージリングの歌を歌いながら元気よく先に行く。イオンはアニスに引っ張られて同じく先に行っていた。

「緊張感皆無〜♪」

 真似するようにミツキが歌えば、みんな苦笑した。

「いいじゃないか。……それより、アッシュの言葉をそのまま信じても大丈夫なのか?」

「アッシュのことを信じられませんの?」

 ナっちゃんは信頼しきっている。対してガイラルディア様は不信の目。

「いや、ただ罠じゃないかって思う事はある」

「まぁ、髭の部下だしな」

「確かに……可能性は否定できないわ」

「パッセージリングの性質を考えても、情報は正しいものだと思いますよ。ただし、彼なりの目的と意図があり、私たちを利用しているのは確かですがね」

「まぁ、今は外殻大地を降ろすこと考えましょうや。アッスだって外殻大地を消滅させようなんて考えてねぇだろい」

「そうね……こうしている間にも事態は進んでいるんだものね」

 するとイオンとアニスがリターンしてきた。

「どうしたの〜? ちゃっちゃと終わらせよ〜。あ、ミツキはザオ遺跡苦手だっけ?」

「いや、一度来た場所ならそんなに苦労しない。さっさと行こうか」

 ミツキはイオンとアニスに手をつながれて連れて行かれた。

「……今はアニスみたいにしているのが一番かもな」

「そうですわね」



 ところが、あと少しってところで地面が揺れた。

「はぅっ!?」

「うぉっ!」

「おっと」

 平衡感覚が悪いミツキが転びそうになると、例の如くジェイドが捕まえてくれた。

「橋が揺れてる……?」

「橋だけじゃないわ。この地下都市全体が揺れてるみたい」

「微弱ですが譜術を感じますね……」

「私は感じられませんが……」

「罠か? それとも……」

「敵ですの?」

「奥に不穏な音素の塊がいるぞ」

 と言えば全員の視線が来た。

「ずいぶん立派な音素の塊じゃのー。イオンは危ないから下がっとれ。行くぞぃ」

 ミツキが杖を薙刀に変えた。それだけで十分警戒する価値がある。

「帰りに橋がなくなってるなんてのはごめんだがな」

「いやなこと言わないでよ〜!」

 奥に進めば、サソリが降ってきた。

「うぎゃっ!?」

「なんだコイツ!?」

 戦闘開始。

 全員が攻撃対象にするも、なかなか硬いサソリだった。
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