盲音の第三譜歌
□リソルート 〜決然と〜
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「旦那、今のはただの妬みだぞ」
「そうだぜ、ミツキがかわいそうだろ」
ガイとルークがそういえばジェイドも少し反省したようで、眼鏡に手をやった。
「そうですね、すみません、今のは失言でした。忘れてください」
ミツキは苦笑して首を振った。
「……いや。確かに私だけ知っているのもアンフェアだな。……いいじゃろ、一人一個なら気になることを教えて進ぜよう」
「え、マジ?」
「いいの!?」
「言ってみるもんだなー」
「うわぁーいV さすがミツキV やっさしーぃ」
「……どうだろう。真実を告げることが優しさだとは一概に言えんぞ」
ミツキは立ち上がるとペンを片づけた。
「じゃぁ若いもん順で行こうか。はい、ミュウから」
「みゅ? 僕にも教えてくれるですの?」
「だってずるいだろ、ルー君たちだけって」
そう言ってミツキはミュウを頭に乗せると部屋を出た。
「ミュウにも未来があるよね……」
「まぁ、あるでしょうね」
「若いもん順ってぇと……」
「ミュウ、アニス、イオン、アリエッタ、ティア、ルーク、ナタリア、俺、ジェイドだな」
「やれやれ……最後ですか」
数分してミュウがトコトコ戻ってきた。
「次はアニスさんですの♪ 廊下にミツキさんがいるですの♪」
「はーいV」
アニスが入れ替わり出て行く。
「おいミュウ、何教えてもらったんだ?」
ルークが聞く。まぁみんな気になるわけで。
「ソーサラーリングがあと二回強力になって、次はタタル渓谷でパワーアップですの!」
「よかったわね、ミュウ」
「はいですの♪ でもそのうち一回は地味に強力になるらしいですの……」
「地味にって……」
「確かに、あと譜が刻めるのは一度ぐらいですね。……二回というのはおかしい」
「あと、このあと皆が落ち込んで空気が重ーくなるですの♪ 責任は負いかねないですの♪」
「…………そう言われると何聞こうか迷いますわね……」
確かにミュウの言うとおり、廊下にミツキがいた。
「ミツキーっ」
「お、アニス。いらっしゃい。何が聞きたいかなぁ?」
「うん、あのね……ミツキは私の正体、知ってる?」
おそらくモースのスパイであることを言っているのだろう。
「……知ってるよ。でも他言するつもりはない。同時に、無視するつもりはない」
ポン、とアニスの頭に手を載せる。
「つらかったな。でも心配しなくていい、ご両親の安否については少々テコ入れしている」
「え……?」
「私が無駄に一年間神託の盾にいたと思うか?」
あやすように頭を撫でてくれる。
「こちらでご両親を保護するまで、今まで通りブタまんには報告すればいい。親は大事になさい。……失ってからでは遅いのだ」
「ミツキ……うん、ありがとう」