盲音の第三譜歌
□リソルート 〜決然と〜
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アニスは意外と早く戻ってきた。
「お帰り。どうだった?」
「ないしょーV それより次、イオン様だよ」
「はい。行ってきます」
イオンは聞くことは特になかった。すでに自分の正体は知れている。
「特に聞くこともないのですが……アニスはどうなりますか?」
「ふむ。アニスを心配するところ、イオンらしいな」
ナデナデ。
「ご両親をこちらで保護するまでどうにもならないだろう。今まで通りにするだろうが、おまえさんは何が何でもダアト式譜術を使わないように努めんしゃい。……アニスを傷つけないためにも、な」
「……はい」
「あと、妙な言い方だが、ルークと縁深い。彼はオリジナルとレプリカについて悩むことが今後多くなる。そばにいてやりんしゃい」
「はい」
§ § §
イオンがトコトコ戻ってきた。
「早。案外みんな早いなぁ」
「彼女は言葉使いが明快なので。次はアリエッタですよ」
「行ってくるです」
アリエッタはぬいぐるみをかかえて行った。ミツキは廊下の壁に背を預けていた。
「アリエッタか」
「はいです。アリエッタはどうなるですか?」
「うお、アバウトな質問……そうだなぁ……どうなるか、ね……まずアリエッタが六神将を抜けた時点でどうなるか予測不明だからな……」
「じゃぁ、もし抜けてなかったらどうなっていたですか?」
「何も知らないまま終わっていたな」
「?」
「いや。今でも分かることが一つあるな。今後とても大事なことを知る。それはとても悲しくて、でも大事なことだ。アリエッタなら乗り切れる。大丈夫だ」
「……ミツキに言われると大丈夫な気がするです」
§ § §
次はティアの番だった。
「兄さんのことだけれど……」
「うん、気になるな。実を言うと髭の本心は測りかねている。だが髭はティアを大事に思っている。できることなら仲間にして、ティアとガイだけは助けたいと考えている」
「そう……兄さんの考えは変わらないのね……」
「変えてみせる」
と、ミツキは笑った。
「兄妹は仲良く、な。考えが突飛だが、妹思いのいい兄ちゃんだ。……あきらめずに」
「そうね……そうするわ」
§ § §
「……次、俺だ」
ティアがいない間、ぽつりとそう呟いた。
「……意外とルークってこのメンバーでは年上だよね……」
「生まれて七年だけどな」
「あ、じゃぁ最初に行くべきでしたわね」
「ははは。ホントだ」
ティアが戻ってきて、ルークに行くよう告げる。
「次、ルークよ」
「おう」
ルークが行くと、ミツキが腕を組んで待っていた。
「へいいらっしゃい」
「……なんかの商売屋みたいになってるような……まぁいいや。俺って……どうなるのかな」
「アバウトだなー。どう、とは?」
「だからレプリカだからさ……全部のことが、本来ならアッシュが……」
「うん、君もナタリア並みに「アッシュアッシュ」とうるさくなるな」
「なっ……でもホントのことだしよ……」
「おまえはおまえ。アッシュはアッシュ。お父上もお母上もお前さんのことを理解しているし、七年間の記憶はアッシュではなくお前のものだ。性格も何もかも別の人間。以上」
「早っ」
「一個だけ答えると言ったじゃろ」
「……わかったぞ、他のみんなも思ったより早かった理由。まぁいいや、ありがとう」
「おう。次はナっちゃんな」