盲音の第三譜歌
□リソルート 〜決然と〜
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ルークがトコトコと戻ってきた。
「次、ナタリアだってよ」
「行って参りますわ」
戻ってきたルークはポツリとつぶやいた。
「なんでみんなが予想外に早く終わったか、分かったぞ」
「ひょっとしていいようにあしらわれましたか?」
「ちげーよ。イオンの言うとおり言葉が明快なんだ。なんつーの? こう、包み隠さずストレートっていうか」
「直球なのよね……」とティア。
「なんか心読まれてるみたい」とアニス。
「それはそれは。いやぁ、楽しみです♪」
§ § §
「やぁナっちゃん」
ミツキはいつもの笑みで迎えてくれた。
「ミツキ……わたくしの本当のお父様は……いえ、ひとつだけでしたわね。国王陛下は、どうなさるおつもりですか?」
「大丈夫だ」と、ミツキは力強くうなずく。
「あのひとは愚かな人ではない。それは、娘である君がよく知っているはずだ。……ルークにも言ったことだが、君が十八年、陛下の…いや、インゴベルトという父の娘であったことに変わりはない。生まれながらの王女などいない。アッシュは君が誰であろうと君一筋だ」
そういえばナタリアは頬を染めた。うん、可愛いな。アッスにはもったいない(笑)。
§ § §
ナタリアが戻ってきたが、うつむいて上の空。
「ん? どしたナタリア、顔赤いぞ」
「い、いえ……なんでもありませんわ。それより次はガイですわよ」
「待ってました」
「ガイ、ミツキを襲っちゃダメだよ」
「なんでそうなるんだよ!」
「お前だったらやりかねないからだ」
「ルークーぅ!(泣)」
§ § §
何故か廊下でミツキは膝を抱えて座っていた。
「……やぁ、ガイ」
「……椅子持ってきたらよかったな」
真似して反対側に同じように座る。
「おまえさんに言う事は一言じゃ」
「え? 俺に質問の権利ナシ?」
「どうせ聞くことは分かってる。……私は邪魔しない。むしろ手伝うぞ」
今後ガイがいかに復讐を企てようとも。
滅多に笑顔を崩さないガイが真顔になる。
「ほれ、あたりだろ」
「はは……ホントになんでもお見通しなんだなぁ。俺は失敗するのかな?」
「いや。失敗も成功もない。おまえさんの中である程度答えが出てるはずだ」
「占い師みたいだな。……手伝うって言ったね。ならひとつ頼まれてくれないかな」
§ § §
最後にジェイドがやってきた。
「はい、こんにちはメガネ」
「こんにちは☆ さっそくですがこの旅の終わりを教えてください」
「そうきたか……すべての物事の終わりは始まりの場所へゆく」
「わかりました、質問が悪かったですね、変えます」
「ちゃんと答えたのに……つーか一人一個って言ったよな」
「ルークとアッシュについてです」
「無視かえ?」
「完全同位体には別の事象が起きると聞いていますが」
「起こさせません」
「『起きない』ではなく?」
「それを阻止するのも我が使命」
「そういえば、あなたはローレライによって呼び戻されたんでしたね。では我々を助けるように仕向けたのもローレライですか?」
「さぁな。私に言わせれば、ローレライほど迷惑極まりない勝手な音素意識集合体はいないと思うぞ。……私が君らを助けるのはあくまで私の意思だ。綺麗事に聞こえるが、ここに飛ばされたからには全員助けてやる……六神将もヴァンもサフィールも含めてな」
「……ディストはあなたの正体を知っていますか?」
「怪しんではいるようだが、ネビリム先生のことをあきらめない限り教えてやらないと言ってやった。……三年前の話だ。バカだな、あいつ」
「ええ……馬鹿です。どうしようもないバカです」
「……あ、そういえばあいつにネビリムさんの遺言伝えてないや」
「伝えなくていいですよ。放っておきなさい」
「おまえもなかなか冷淡じゃのー。あ、ピオニーにはお前から伝えてやれ」
「後でハトを飛ばします。今までの報告と、あなたの素性もかねて」
「……なにやらどこかが嗅ぎまわっていると思ったが、ピオニーだったか」
「お気づきでしたか。……止めないんですか?」
「止めてどうする。一番信じなさそうなおまえさんが納得したんなら、ピオニーなら私が異世界から来ました〜と言っても『そうか〜』で終わりだろ」
「ふふふ……そうですね。ところで、秘奥義八連発の荒業ができるのも、異世界からの影響ですか?」
「残念ながら元いた場所には音素がない」
その言葉にジェイドは驚いた。
「ない? では物体はどのように存在しているのです?」
「音素、という概念がない。物体は元素でできている。というか、こっちからみたらいきなり空中に火の塊を出したり、水を出したりするほうがおかしいがな」
「……詳しくお聞きしたいですね」
「今度な」
§ § §
案の定、ジェイドとの個人面談を終えたら、全員無言で考え込んでいた。
「……こうなるから言いたくなかったんだけどなぁ……」
「彼らは若いですから」
「む。なんか引っかかる言い方だな」
「気にしないでください☆」