盲音の第三譜歌
□ベン マルカート 〜よく注意して〜
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ミツキが目を覚ましたら、またモノクロの視界に戻っていた。
「ミツキ! 目が覚めたのね!」
「う……ティア? それに……ルー君か」
握っていた手から、短髪のルー君が見えた。
「髪を切ったのか。似合っているぞ」
「///////」
「それより二人とも、大変だ。次は南ルグニカ地方が崩落するかもしれん」
「? どういうこと?」
「南ルグニカを支えていたツリーを消してしまったからだ。次はセントビナー周辺だと思う。だから住民を避難させないと。崩落を防ぐ方法もどうにかせねば……」
「おじい様なら何か知っているかもしれないわ。話を聞きに行きましょうルーク」
「わかった」
「ミツキは身支度を整えるといいわ」
「ん? あホントだ」
ミツキはいつの間にか着替えさせられていた。まぁ病人だったわけだし……。
「じゃ、ユリアロード前で待ち合わせな」
「おぅ」
とりあえずミツキは着替えた。
そしてこれからのことを整理しようと頭の中をかき混ぜる。
まず、セントビナーの救出にアルビオールが必要になる。
いやそのまえになんかあったような……。
髪を解いて、長いおくれ毛を二つに折って留めようとしたとき、美月は「あれ?」と思った。
いつも髪の輪に通すリングがない。
あれはディストとスピノザに作ってもらったキャパシティ・コアなのだ。
美月はローレライのお墨付きがあるせいか、本気で行けば常人じゃない力を発揮する。それは少し恐ろしい。下手すれば自分の体も傷つく恐れがあるので、力を制御するために作ってもらった。
おかげで普段はどんなに頑張っても八割ぐらいの力だが、八割でも一騎当千の力がある。
手をさまよわせていると、鏡の隣の机の上に置いてあった。髪にリングを通し、耳の横で留めて完了。
おくれ毛だけ長く伸ばしたのは、このリングを使うためでもある。
左右で二つで一つなので、結果的にこの髪型に落ち着いたのだ。
ユリアロード前で待っていると、ぷんぷん怒ったルークとティアがやってきた。
アクゼリュスの崩落が預言に詠まれていたにも関わらず、ホドのときと同じように見殺しにしたことを怒っているらしい。
……ごめん、私も知ってた……。
「とにかく地上へ戻ろうぜ。ミツキ?」
「へ、あ、うん」
「大丈夫? まだつらい?」
「いやいやいや。全然平気。もう元気。だいじょーぶ」