盲音の第三譜歌
□スービト 〜ただちに〜
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ある日、森の中、兵士に、出会った♪
『何者だ!?』
見事に疑われた。
無事ローテルロー橋にタルタロスを接岸し、徒歩でテオルの森にやってきた。
「私はマルクト帝国第三師団師団長ジェイド・カーティス大佐だ」
『カーティス大佐!? 大佐はアクゼリュス消滅に巻き込まれたと……』
「私の身の証は、ケテルブルクのオズボーン子爵が保証する。皇帝陛下への謁見を希望したい」
「ついでに私もな」
『み、ミツキ殿!?』
なぜマルクト軍にまで顔が知れ渡ってんだ……と後ろでルークたちが呟いていたが気にしない。
『大佐とミツキ殿だけならともかく、他の方をお通しするわけには……』
「えーっ! こちらはローレライ教団の導師イオンであらせられますよ!」
「通してくれたっていいだろ!」
「これこれルー君、アニスちゃん。仕方ない、私らは待とう。ジェイド、すぐに通行許可をもぎ取ってきてくれ」
「わかりました」
「それまではここに置いてけぼりか。まぁ仕方ないさ」
「……ちぇっ」
『それでは、ご案内します』
ジェイドが消えてから数分後……。
「暇だ」
「暇ですわ」
「暇だな」
「暇ーっ!」
「暇だわ…」
「ジェイドはまだでしょうか……」
「時間かかると思うぞ。なんせここの皇帝はバカだから」
「……ミツキにボロクソに言われるなんて……」
「よっぽどなんだなぁ……」
アニスが木を殴りだすと、「私も」とミツキまで殴りだした。
そんなときだ。
『うわあああ!!』
断末魔の叫びが聞こえてきた。
「今のは……!?」
「悲鳴ですの……!」
「行ってみましょう!」
進めば、血を流して倒れているマルクト兵。
「しっかりなさい!」
『神託の盾の兵士が……くそっ……!』
兵は息絶えた。
「神託の盾……まさか兄さん……?」
「ティア、髭が命令したかはこのさい関係ない。神託の盾が襲ってきたということが問題だ」
「グランコクマで何をしようってんだ?」
「まさか、セフィロトツリーを消すための作業とか?」
「いえ、このあたりにセフィロトはないはずですが……」
「こうしてても埒があかねぇ! 神託の盾の奴を追いかけて、とっつかまえよう!」
「そうですわね。こんな狼藉、許してはなりませんわ!」
「待って! 勝手に入ってマルクト軍に見つかったら……」
「……隠れて進んだら問題ないぞ」
ボソッとつぶやいたミツキ。
「そうだな。マルクトと戦うのはお門違いなんだから」
「かくれんぼか。イオン様、ドジらないでくださいね」
「あ、はい」
「いつの間にか行くことになってるわ……もう……」
ティアが呆れたため息をついた。