盲音の第三譜歌
□漆黒の髪の乙女 〜亜麻色の髪の乙女より〜
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牢屋に入れられたルーク御一行。
「ミュウ〜アタッーク!!!」
がんっ!
鈍い音を立ててミュウは弾き飛ばされた。
「みゅぅう……」
なんと頑丈な檻なんだろう。
「ミュウ、もういいわ。ミュウアタックじゃ無理よ」
「武器は取り上げられるし、踏んだり蹴ったりだなぁ」
「ガイ〜。んな呑気な事言ってる場合じゃないよぅ……」
「どちらにせよ、我々の命を取るつもりはなさそうですね。ホントにミツキを引き寄せる餌にしただけのようです」
「ミツキ……先ほど女がひとり、神託の盾から逃げ出したと噂が立っていましたが……」
「彼女かもしれないな」
「モースの軟禁から逃れた、ということでしょうか」
「兄さんのことよ。ミツキのことを警戒して、何か仕掛けているに決まっている」
「……せめてアッシュとつながってりゃなぁ……」
ルークはさっきからアッシュに話しかけているのだが、やっぱりこちらからは無理だった。
肝心の時に役に立たない被験者である。
そのとき、牢屋の外が騒がしくなった。
『いやっ! 放して!』
『このヤロっ、放しやがれ!』
「! この声、根暗ッタとアッシュだ!」
直後、アリエッタとアッシュが神託の盾兵に捕まって牢屋に入れられた。
「きゃっ!」
「根暗ッタ!」
「アッシュ!」
六神将二人組は隣の牢に入れられた。
「アニス! ……イオン様も!」
「アッシュ!? お怪我は……!?」
「くそっ……ナタリア、お前たちもか!?」
「あなたに言われたくないですねぇ」
「黙れ眼鏡」
「傷つきますねぇ」
アッシュがピリピリしているのは(いつものことだが)なんとなくわかった。ひょっとしなくても……。
「おまえもミツキがらみで捕らえられたりする?」
ルークが聞くとアッシュはフンと顔をそむけた。
「総長は何考えてるですか……?」と、アリエッタがうるうるとイオンを見上げる。
「アリエッタ……」
「総長は、ミツキを傷つけたりしないと言ったです。なのに……この倉庫の裏に、いっぱい強い魔物がいたです」
「魔物……それよりここはどこなんですか?」
「ベルケンドの廃棄された倉庫だ。おまえたち、知らずにつれてこられたのか?」
「目隠しされて連れてこられたんです。アッシュ、この建物の内装はわかりますか?」
「……そんなことを聞いてどうする」
「ミツキが来た場合の脱出経路を考えなくてはいけませんので」
「はっ、どうだか。おまえたち、バチカルへ来る前にミツキを尋問してたみたいだが」
「!」
ルークたちの表情を見てアッシュが笑う。
「尋問してきた相手をはいそうですかと助けるアホがどこにいる? いくらミツキでも、そこまでお人y……」
「ミツキはそんな人じゃないもん!」と、アリエッタのぬいぐるみがアッシュに飛んできた。後頭部にクリーンヒットしてアッシュは頭を抱えた。