盲音の第三譜歌

□リソルート 〜決然と〜
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 シェリダンに着いてから一泊、集会所へミツキの案内で行く途中、おばーちゃんずに遭遇した。
なんでもジジイどもの対立に嫌気がさしたとか。ルークたちがハテナを浮かべていると、ミツキが苦笑した。

「またか。元気なじーさんたちだ」

「止めておくれミツキ」

「まぁ、努力する」

 入れば言い争いの声。

「……そんな風に心が狭いからあのとき単位を落としたんだ!」

 いつの時代まで喧嘩のネタにするのだろうか。

「うるさいわい! そっちこそ仲間に売られたんじゃろうが! 文句を言うなら出て行け!」

「そうじゃそうじゃ! ……おや、あんたたち」

「じーちゃん……例のもんは?」

「おお! 振動周波数の測定器は完成させたぞ」

「わしらの力を借りてな」

「道具を借りただけだ」

「はいはい。で、測定器は?」

「これじゃ」

「お預かりします」

 ジェイドが測定器を受け取った。

「話は聞いたぞい。振動数を測定した後は地核の振動に同じ振動を加えて揺れを打ち消すんじゃな?」

「地核の圧力に負けずにそれだけの振動を生み出す装置を作るとなると、大変だな」

「ひっひっひ。その役目、わしらシェリダンめ組に任せてくれれば、丈夫な装置を作ってやるぞい」

「360度全方位に振動を発生させる精密な演算機は、俺達ベルケンドい組以外には作れないと思うねぇ」

「100勝目を先に取ろうって魂胆か?」

「なんだと!」

「なんじゃ!」

「このボケじじい!」

「このボケボケじじい!」

「心配しなくても、どっちもジジイだぞ」
 ミツキがバッサリ斬った。しゅんとうなだれたじーちゃんずに、ミツキは無情にもとどめを刺した。

「いがみ合ってる場合ではない。どっちが何を作ったかは問題にならない。いい歳なんだから仲良くな」

 にらみ合う両者に、ミツキがカオスオーラを出した。

「な・か・よ・く・な?」

 全員冷や汗を流した。本能がミツキに逆らうなと教えた。

「わ……わしらが地核の揺れを抑える装置の外側を造る。おまえらは……」

「わかっとる! 演算機は任せろ」

「任せたぞ、じーちゃんず」

 にこにことミツキはほほ笑む。誰も何も言えなかった。

「ところで……ミツキ、どしたんじゃ、両腕両足包帯で」

 これはルークたちを助けるために負った傷だ。でも何でもない風に彼女は笑った。

「ちょっと不良に絡まれた」

 その嘘無理があるよ……と思った一同。彼女がその辺の不良に負けるわけがない。

「どこのどいつじゃ!? 女の子に怪我させおって、成敗してくれる!!」

 信じちゃったよ……。

「大丈夫だアストンじーちゃん。私自ら制裁をくらわす予定だから」

 真顔で言われたら冗談に聞こえない。
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