盲音の第三譜歌

□ベン マルカート 〜よく注意して〜
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 ユリアロードを抜けて、アラミス湧水洞に出た。

 ああ、ここ好きなんだよな。水の音とか、いいんだよ。

「みゅぅ〜っ!」

「うわっ、いきなり水の中かよ!?」

 ミツキがミュウを拾い上げた。ティアが説明する。

「大丈夫よ。セフィロトが吹き上げる力で水が弾かれているから」

「セフィロトか……大陸を浮上させるなんてすげー力だよな。俺、そんなすげぇものを消滅させちまったのか……」

「落ち込んでいても何もできないわ。そうでしょう?」

「そうだった……できることをやるんだった……ダメだな、俺」

「大丈夫だルー君。最初から何できる人間なぞおらん。さ、行くぞ」

 道中の魔物を追い払い進んでいると、見なれた金髪青年がいた。

「ようやくおでましかよ。待ちくたびれたぜ、ルーク」

 ガイがさわやかな笑顔を浮かべた。

 ゲームのときも思ったんだけど、何も道のど真ん中で座って待たなくても……。

 ルークの髪型に気づいてにっこり笑う。

「ん? 髪を切ったんだな。いいじゃん、さっぱりしてさ」

「ガイ……」

 ルークは嬉しそうにガイに近寄るが、途中でためらうように止まった。

「? ルーク? どした?」

「……俺……ルークじゃないから……」

「おーい、お前までアッシュみてぇなこと言うなっつーの」

 ガイ様、呆れる。でもルー君は俺はレプリカでどうのこうのと言いだす。

「いいじゃねぇか。あっちはルークって呼ばれるのを嫌がってんだ。もらっちまえよ」

「もらえって……お前、相変わらずだな」

「そっちはずいぶん卑屈になっちまったな」

「卑屈だとぅ!?」

「今更名前なんてなんでもいいだろ? せっかく待っててやったんだから、もうちょっと嬉しそうな顔しろって」

「あ……うん、ありがとう」

 ガイが少し目を丸くした。

「ルークがありがとう……慣れないな……」

「彼、変わるそうよ」

 ティアが近づくと即座に逃げるガイ様。

「あなたは変わらないのね……」

「一生変わらんと思うぞ」

 というミツキにやっと気づいたガイ様。

「ミツキ! 大丈夫なのかい? もう体は……」

「平気だ。ちょっと疲れすぎで倒れてただけだからな」

「みんな大変だったぞ。出発前に熱出すし、アッシュもナタリアもジェイドもアニスもイオンも心配で出発遅らせようとするし……」

「ほう、それは悪いことを。で、ガイは心配してくれてないのか?」

 と、美月が下から覗き込むように首をかしげて、にやりと笑った。

「/////し、心配したさ!」

「そっかそっかぁ、お姉さん嬉しいよ。うん私は幸せ者だ。ありがとな……おっと」

 いつもの癖でルークみたいに頭を撫でてやろうと思ったが、ガイの体質を思い出して手を引っ込める。

「仕方ないからルークぅ」と、ルークの赤毛をわしゃわしゃなでる。

「何で俺!?」

「いや、だってガイは触れないから。さ、行こう」

「「「…………」」」
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