盲音の第三譜歌
□リソルート 〜決然と〜
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絵心って結局才能の有無だと思う。
ルークとナタリアとアリエッタとイオンとアニスのお子様組は、じーっとペン先を見ていた。そのペンを握っているのはミツキで、ただのインク一色で彼女はリアルな絵を描いていた。
「……五人とも、近い。顔が近い」
「だって不思議なんです、見てると」
「だよな」
「インク一色でここまで明暗がでるなんて……」
「アリエッタ、こんなのできないです」
「根暗ッタの落書きと一緒にしないでよねー」
「根暗じゃないもん! アニスのいじわるーっ」
「……これ落書きのつもりなんだけどな……」
「「「「「!?」」」」」
まさかの落書き発言にぎょっとする。
「何かの地図のように見えますが」というジェイドにミツキは頷いた。
「ああ。タタル渓谷内部地図(脳内地図)だ。たしかこうだったかなぁ、というあいまいな地図だ」
「あいまいっつーわりにガッツリ描いてるよなぁ……」
「ガイ、そこつっこんじゃダメよ」
ルークは視線をペン先からミツキに移動した。
「……なぁミツキ」
「なんだルー君」
「……ずーっと気になってたんだけどよ」
「おう」
「……なんで異世界に飛ばされてまで、俺らを助けようとするわけ?」
「うーん……それ髭にも聞かれたんだけどさ……ひとつ、結末に納得がいかない、ひとつ、どーせ帰れない、ひとつ、オールドラント消えたらマジ困る、ひとつ、せっかく髭に匹敵する戦闘力があるのに使わないのはもったいない。それぐらいかな」
「……俺らってどうなんの?」
「すごくなる」
「雑! すっげー雑な答え!」
「じゃぁ、髭がしつこい」
「それ今と変わんないんじゃ……」
「六神将の衣装がアッシュ以外チェンジする」
「どうでもいいから! それどうでもいいから!」
「……アリエッタ、お洋服変えるですか?」
「うんうん変えるよぉ。すごく可愛いV」
「なんか態度違うわね……」
「あとピオニーのアホが国家予算で君らの水着を作る」
「水着ぃ!?」
「あのバカがやりそうなことですね」
「なぁ、話の論点ずれてね? ずらしてるよな意図的に」
「ちっ……賢しい知恵をつけたな、ルー君」
「やれやれ……ルーク、無駄ですよ。何度聞いたって今みたいに華麗にスルーされます。尋問も無駄です」
「大佐の尋問を潜り抜けたの!?」
「さすがというか……」
「でもよぉ、気になるじゃん。みんなだってそーだろ?」
「確かに気にならないわけではありませんが……」
「アッシュは気にしてないようでしたが」
「預言が少し正確になった程度のことだぞ」
「でもお前のって下手な預言より当たるだろ……」
「ぶーぶー。教えてくれたっていいじゃんー」
「……自分に関することは一切分からないがな」
「いいですね、どう行動したら正しい選択ができるか知っているというのは」
「!」
ミツキは無意識にビクリと肩を震わせた。正しい選択……。