give&take

□ふたりふたり、
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「なぁ、ルフィ…」

甲板で寝ていたゾロが隣に座るルフィを見つめ、体を起こす。
「俺のこと、すきか?」
と尋ね、そっとルフィの頬に触れる。


「すきだぞっ」
とルフィはキラキラと輝く笑顔をゾロに向け
「おれは、ゾロのこと大好きだっ!」
綺麗な黒髪を揺らし、ゾロに抱きつく。




ふわりと何ともいえないの甘い香りがする

抱きついてくる腕は細く柔らかで……



「すきなら、キスして?」
ゾロが意地悪く笑う。

ルフィは顔を真っ赤に染めると、ん〜と唸り、潤んだ瞳でゾロを見上げる。

「キス…」
可愛いルフィの耳元で甘い甘い声が響く…

まるで、お砂糖無しのブラックコーヒーのような、ほろ苦く、温かな声……


「ゾロっ…」

ルフィの艶やかな唇が震えて…

「すきっ、大好きっ…」



少し伏せた目元はほんのり桃色…

長いまつげがふるりと揺れて…

唇がそっと触れ合う………








「なぁ、サンジー」
「あぁ?」

キッチンから甲板を見つめ、ウソップがサンジの肩を叩く。

「あれ…」
「あぁ、野郎二人でいちゃいちゃしてんな。昼間っから…」


ウソップが指さすほうには、確かに愛を分け合う、この船の船長と剣士がいて。
しかも、そのままゆっくりと抱き締められ、ルフィの体が甲板へと倒され……

「これ以上は入っちゃいけねぇ領域だぞ。ウソップ…」
サンジが煙草にシュボと火をつけ、ウソップの肩にとん、と手を乗せる。

「いや、それが……」
ウソップの顔が何とも言いたげに歪み…
「ゾロ…」
と呟く。

サンジも不思議そうに、少し離れた位置でルフィにキスを落とすゾロを見る。




額と唇に優しいキスを落とし、何かをルフィの耳元で囁いて…

どうせ、「愛してる」かなんかだろ?とサンジはフーッと煙を吐いて………




サンジが見つめる中、ゾロがルフィから静かに顔を離す。

そして………


にやりとキッチンに笑いかけたのだ。
まるで「どうだ?」なんて言わんばかりに。



そして、今度は見せつけるように、深い深いキスをルフィに落として……



「さっきから、ずっとあんな感じだぞ…」

呆然としているサンジにウソップが呟く。

「初めは口パクで見とけって言って…」
「見るなよ、お前も…」

サンジか呆れて、また煙を吐く。

「き、気になるだろうがよっ!」

ウソップが少しむっとしたように言って…

キッチンの小さな窓から、腹が立つ程、幸せそうな2人を眺める。







ゾロがルフィの耳元にそっと口付け、ぼそりと囁く。

「キッチン、見てみろよ。」


ルフィは不思議そうに、潤んだ瞳をそっとキッチンの方に向ける。


ばっちりと、サンジとウソップの視線に合い、焦ったように、ゾロの胸を押す。


「ゾロっ、だめっ!ウソップとサンジがっ…ぁんっ」


ゾロがルフィの白い首筋に吸い付いて…

白い肌に赤い花が咲き……




ルフィを抱き寄せると

「あんな奴らのこと、考えらんねぇぐらい、よくしてやるから…」

と優しく濡れた声で囁いて……


ルフィがぎゅっと瞳を閉じる…


優しく黒髪を撫でながら、ゾロはキッチンに向かって視線を送る。


「さようなら」


小さくゾロの唇が動き満足げに白い歯を覗かせて…







「なんか、腹立つな…」

ウソップが呟き

「元からだ。あのクソマリモは。」

サンジは二本目の煙草に火をつけて……





「幸せなんだろ、あいつらは…」

小さな呟きは煙と共にふわりと消えて……







腹が立つけれど認めていて、


憎たらしいけど微笑ましくて…

なんとなく、

幸せになりやがれ!


なんて……


強がりだろうか?










/ふたりふたり、ずっとふたり。貴方と私のふたりの世界。
09/01/28
(茶。様「無自覚ルフィと確信犯ゾロ」)
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