give&take
□世界はそれでまわっている
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空気は乾燥して爽やかだが、太陽が容赦なく照り付けて体中の水分を全て蒸発させてしまいそうなそんな午後。ウソップは涼を求めてアクアリウムへと向かっていた。ふと右手に視線を向けると、芝生の甲板の隅のほうであいもかわらずゾロが昼寝をしている。そしてそのすぐ隣にルフィが膝をかかえるようにしてこちらに背中を向けて座っていた。
―何してんだあんなとこで。
ひまそうに見えるその背中に声をかけようと片手を上げかけた時、ルフィが麦わらを押さえて空を仰ぎ見るような動作をした。つられるようにウソップもルフィが顔を向けているほうに視線を上げて太陽の眩しさに思わず眉をしかめて手で日差しをさえぎった。
ルフィも丁度ウソップと同じように顔の前に手をかざして太陽の方を見上げ、ついでチラリと寝ているゾロを振り返ってからおもむろに二十センチほど左側に尻の位置をずらして座りなおしている。
―ああ。
日よけか、とウソップは納得した。
多分ルフィは寝ているゾロの顔に日が当たらないように陰を作ってやっているのだろう。そんな面倒なことをせずにデッキチェアのところからパラソルでも持ってくればいいだろうに。そう思いながらもなんとなく邪魔するのは悪い気がしたのでウソップはその場を早々に立ち去ることにした。