Hiyori
□拝啓、愛しい貴方へ
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「妹子〜、花見に行くでぉま!」
「何いってんですか、まだ仕事こんなに残ってますよ!」
「仕事はいつでも出来るけど花見は花が咲いているときにしかできないだろ?それにほら、竹中さん達も来てくれるから!」
「…ったく、ちょっとだけですよ…。」
「そうと決まったら早速おにぎりを用意するでぉま!」
「はいはい、今から急いで用意しますよ。」
拝啓、愛しい貴方へ
聖徳太子様
お久しぶりぶりですね、太子。
貴方が逝かれてしまってから、もう四年が経ちました。
僕には早いようで、でもゆっくり時が流れているような、そんな四年間でした。
はじめはとても憂鬱な日々を過ごしてましたが、今は前とさほど変わらないです。
あ、こんなことを書くよりもっと太子が喜びそうな話でもしましょうか。
太子、黒駒という馬を覚えてますか?
少し前、調子丸君と黒駒が飛鳥乗馬大会でなんとまた優勝したんですよ!
もとはと言えば太子の馬でしたけど、今ではすっかり調子丸君に懐いてるみたいです。
そういえばつい最近また皆で花見をしたんですよ。
勿論、竹中さんや吉田さん達と。
今年は馬子さんと調子丸君も来てくれました。
皆で桜を見ながら、色んな話をしましたよ。
こないだの飛鳥乗馬大会の話とか、竹中さんがA棒とB棒に挟まったこととか、あと、太子のこととか。
やっぱり皆この季節になると思い出しちゃうみたいなんです。
僕なんかカレーの匂いがしたり、ツナやおにぎりを見たり、あの赤いジャージを着る度に思い出してしまいますもの。
そうゆうところを見ると、貴方はやっぱり皆に愛されてたんだなって僕ひ思います
…とゆうより現在進行形で愛されてたんだなって感じですけどね。
部下の僕もうれしいです。
…あれ?僕はなんでこんなこと書いてるんでしょう?変ですね、違うこと書こうとしてるのにいつのまにか貴方のことを綴って…
嫌だな、僕全然一年でした。
前と進歩してないみたいで、貴方のことばっかで…自分のことなんて聞いても全然楽しくないですよね。
…そうだ、太子、僕達が桜を見に行った時の約束、覚えてますか?
僕はあの約束を絶対忘れたくないです。
あの約束を覚えていたら、また、貴方に会える気がするんです。
もし今僕が書いている手紙を天国で読んでくれてるなら、勝手な事言いますが、太子も忘れないで、忘れないで覚えていて下さい。
この手紙を読んでいてくれている事と、貴方が約束を信じていてくれる事を、信じています。
小野妹子
僕は紙の最後に自分の勝手な願望と名前を書いて、筆を硯へ戻した。
書き終えて気付いたが、紙の上が水に濡れて紙が中盤あたりからでこぼこになっていた。
いつのまにか泣いていたらしい。
そして、今までずっと我慢して言わなかった言葉が、涙で濡れた唇から零れた。
「…っ太子、会い、たいよ…っ」
拝啓、愛しい貴方へ
貴方は桜と供に散ってしまったけど
貴方は毎年桜と供に皆の中へ蘇らせる
End†
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