Hiyori
□貴方と彼岸花
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「大王っ!」
「何?鬼男くん。」
「これ…」
そういって俺は大王の前に真っ赤な花をずい、と突き出した。
はて?と首を傾げてとぼける大王。分かってるくせに。
俺は大王の口の端が一瞬上に吊り上がるのを見逃さなかった。
「なんでいろんな所にこんな真っ赤な花なんて飾ったんですか?しかもご自分の部屋まで…」
そう、今朝俺が大王の部屋へ日課の掃除をしに訪れたとき、まずドアを開けて目に飛び込んできたのがこの血のようにとても美しくしいた真っ赤な彼岸花だった。
その後閻魔庁に着き、ここに来る途中にも廊下や公務室にまで彼岸花が飾られているのを発見した。
こんなことするのはあの人しかいない、というよりあの人の部屋に飾ってあったのだから、もうそれぐらいしか思い当たらないのだが…
「それ、彼岸花って言うんだよ。」
「知ってます。」
「で、その花がどうかした?」
にこにこと笑いながら鬼男に問う閻魔。
「だから、なんで彼岸花なんて飾ったんですか?」
「いーじゃん別にぃ〜」
「理由を聞いているんですっ!」
「だって〜、閻魔庁の中ってお話飾ってるわけでもないし、掛け軸かかってるわけじゃないし、なんだか殺風景じゃない?だから、いわゆる模様替えをしたのっ!」