Eternal bonds1
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8月1日、今日はマイの退院する日。
それを気遣って休みをもらえた。
本当はシアもマイも出勤日で、あの事故以来、マイの分をシアが補っていたのだが。本当は休みのトーマが勤務変更してくれた。
シンも予備校があるのに、あの事故のことを気遣ってか、シンは病院に行けない日はシアに電話をしてマイの様子を聞く。
「担当の医者と看護師の挨拶と支払いと、あとなにすればいいんだっけ?」
「それくらいだと思うよ。身の周りは片しておきなよ、って言っておいたから」
シアとシンはマイの病室へ向かった。
年頃の女の子で、警察などの出入りもあるかもしれないと言うことで、病室はこちらでも個室だった。
実際、何度か私服の警察官が訪れ、その度にマイは「シンは悪くない」と言っていた。
執拗に聞いてくる警察官にシアが切れそうになったが、余計に二人の立場を悪くしてしまうという考えが彼女を抑えた。
シルーから聞けば、もう信濃の警察官は帰って行ったそうだ。
こんこん。
「入るぞ」
シンがノックをし、病室に入る。
すでにマイは起きていて、こちらを見る。
が、なんとなく違和感を感じた。
いつもなら姿を見てすぐに自分たちの名前を呼ぶ。
もしくは「体が痛いー」など、必ず何か言う。
寝ぼけているのだろうか、何も言わない彼女にシアは眉間にしわを寄せた。
そんな彼女の反応をシンはシアほど深くは考えていない。
「――ったく。何ぼーっとしてんだ。目、覚ましてやるよ」
シンがマイに近づき、彼女にキスをした。
シアは恥ずかしさや照れなど、何もない。
こういう場面に直面するのは両手で数えきれないほど。
「…いつまでキスしているつもり?私、とっても居にくいんだけど」
シアは呆れたため息を吐きながら言った。
シアの言葉にやっとシンもマイから離れ、こちらもまたため息をついた。