短話ーミジカイ ハナシー


□遠回しの優しさ
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真選組副長土方十四郎は毎日を多忙に過ごしていた。

「副長ー。持って来ましたー。」
「そこに置いとけ。」

「副長ー。これ明日までにお願いします。」
「あ゛?あぁ…分かった。」

「トシー?これってこんなんで良いと思うかぁ?」
「ん?あぁ、そーだな…。」

真選組の頭脳と呼ばれるだけあって頭の弱い隊士達の代わりに書類等の整理をするというのが一日の内の大半であった。

また、元々の生真面目な性格のせいか、自分が当番の時の巡回等はキチンと行き、そしてその分睡眠時間が書類整理のおかげで削られるのであった。

「本当、アンタは生真面目だねィ。」
「五月蠅ェ。邪魔すんなら出てけ。」
「へーへー。」

沖田はヨイショとでも言うかの様に緩慢な動作で立ち上がり、襖に手を掛けた。

「あ、そーそー。」
「…何だ。」
「はい、これ。玄関の所にありやした。じゃ。」

ピラッと土方の方に一枚の紙を放ち、沖田はとても良い笑顔をしながら出て行った。

ヒラヒラと舞う様に、土方の前まで来た一枚の紙。
そこにはーーー…。

「な゛ッ!!!ーーッ総悟ォォオ!!!!!」

この間、沖田が捕物をした時に壊したモノの請求書額が書いてあった。
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