短話ーミジカイ ハナシー
□王子のお姫様
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「ねぇ、ベル。」
「何〜、マーモン。」
ここはマーモンの部屋。
何故ベルがこの部屋にいるのかというと、マーモンが本を読んでいる時になるとベルは部屋に入って来て、カップやら紅茶やらを勝手に出して注ぎ、寛ぐのが習慣となっていたからである。
マーモンは初めはすごく嫌がったが、何回も同じ事をするので諦めた。
「ベルの好きなモノってなんだぃ?」
「王子の好きなモノ?」
「うん。」
「うしし。んなもん決まってんじゃん。」
ニヤニヤと笑いながらベルは続けた。
「殺し。」
「……だと思ったよ。」
マーモンは内心溜め息を吐きながら本に目を落とした。
(別に、ベルは僕の事何とも思って無いんだし…さ。)
そう思うとマーモンは少し悲しかった。
同時に少しベルの事が憎くくなった。
「じゃあ…ベルが好きになった人は可哀相だね。」
「…何で?」
ベルは少し不機嫌そうに言った。
「だって、好きでも…ボスの命令なら殺すんでしょ?」
違うのかぃ?と本に目を落としながらマーモンはベルに言った。
「…………。」
沈黙が痛かった。