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□可愛い人1
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可愛い人1
「え、嘘、創太こんなとこですんのかよ…!?」
「うん。」
ちょっと散歩に行こうって創太が言うもんだから着いてきたら、こんな、公園の茂みの裏で押し倒されて。
「ひっ人に見られたら…!」
「んー、大丈夫じゃない?」
「ひゃあっや、嫌だよ創太ぁ…!」
半袖の下に潜り込んできた創太の手を止めようとしたら、逆にその手を捕まれた。
「洋平。…気持ち良くしてあげるから、ね?」
女の子みたいな、いや、女の子よりも可愛いその顔でにっこり笑われたら、俺は頷くしかない。
「…あんま、長くしないでくれよ…?」
服従する代わりに大人しく草むらに倒れて、創太を見上げてせめてもの懇願。
ギラッと、創太の目つきが変わる。
え、嘘、逆にスイッチ入ったよ!
「洋平次第だよ…」
上に乗った創太が、俺の顎を掴んで覆い被さってくる。
いつも、この瞬間は怖い。
俺は条件反射で目を閉じた。
「あっはぁっあ、ああ…っ」
「んっ、洋平…っ」
「あ、そぉたぁ…っあ!」
胸につくぐらいまで足を曲げられて、押さえ込んだ創太が激しく出し入れしてくる。
この姿勢苦しい、ケツも痛い、けど…っ
「はあっあ…っやぁあ…っ」
「っは、ようへー、好き、だよ…っ」
「んっんむ…っ」
甘い言葉を囁かれると、それだけで感じてしまう。
苦しそうな、気持ち良さそうな、汗に濡れた創太の綺麗な顔を見るだけで他の事なんてどうでもいいと思ってしまう。
入れられたまま体を折り曲げられて、噛みつくようなキスをされて。
「っふ、んんっんはぁ…っ」
「っふ、ようへー可愛い。」
俺は断じて少しも可愛くない。むしろ可愛いのは、男のくせして反則なほど、こんなに俺を夢中にさせるくらい可愛いのは、お前だ。
手を伸ばして、その小さな顔に汗で貼り付いた髪をかき上げてやる。
「そぉた…っあっ俺も好きぃ…ひあっ」
可愛くて。きれいで。俺とは違うから。
「んっよーへー、俺も…っ」
途端に激しくなった動きに、一気に高められる。
「そぉた…っあっ…ひあっ」
中をグリグリ押して、ワケが分からなくなって
「あっあっあーーーーっ」
「っく…っっ」
俺もいって、中にある創太のがビクビクしてる。
覆い被さってきた創太を抱き締めて、そのふわふわの髪にキスをして。
はぁはぁと荒い呼吸のままぼんやりと夜空を眺める。
街灯が、目に眩しい。
うわ、ここが外だって忘れてた…。
「洋平さん!俺昨日、M公園ですっげぇものみたんすよ!!」
「M公園…?へ、へえ、何。」
「実はちょっと覗きしてて。したら、なんとカップルのすげぇ可愛い子が、相手の男ガツガツに犯してんすよ!いやー、あんなプレイもあるんすねー!」
「高橋。」
「はい?」
「男の顔は見えたか…?」
「それが暗くて、ちょうど見えなかったんですよね〜!でも、これまた相手の男がこう、そそる声で鳴いてんすよ!声もでかかったし結構ギャラリー付いてましたよ。」
「!?ギャラリー!?」
「あ、洋平さんも今度行きます!?また来るかもしれませんよあのカップル!!」
「い、いや、いや俺はいい。」
「ああっ!そうですよね!洋平さんがそんなのに興味あるわけないっすよね!失礼しました!!」
がばっと頭を下げる高橋の頭をとりあえず上げさせ、俺は学生服の襟元をパタパタと扇いだ。
うー、顔が熱い、くそ、絶対に赤くなってんぞこれ…。
でも額を伝う液体は、多分冷や汗。
「何だ洋平、具合でも悪いのか?」
「ちげーよ、何でもねー。」
他の奴らにバレないように、下を向く。
創太のバカヤロー、ちっとも大丈夫じゃねえじゃねえか!
end