素晴らしき戴きもの

□良吾君VS多田君×高梨君
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良吾vs多田→高梨
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高梨は盛大な溜め息を吐いた。

「あのなあ、来てくれるのは嬉しいんだけどその時は携帯に電話してくれないか?
俺にも都合ってものがあるし…」

学校に押しかけられるのは本当に困る。

今日のちょうど終令が終わった時間、金髪の派手な他校生が校門前に現れ、それが多田だと知った高梨は慌てて学校から飛び出し多田のもとに駆け寄った。
息を切らした高梨に多田の言った一言はこうだった。

「デートしよっ」

そして今に至る。
高梨は隣でルンルンと歩く多田を見下ろしながら大きい溜め息を吐いた。

「高梨ちゃんさあ、あんま溜め息ばっかついてると身長縮むよお。…………ん?それいいかも…」

「誰のせいだ。誰の」

溜め息をつくのがあまりよくないことはわかっている。けどつかづにはいられない。多田は先ほどから高梨の意見を全面無視し続けていた。

「高梨ちゃん」

「うん?」

普段よりいくらかか細くなった多田の声に耳を傾ける。

「手、繋いでい?」

「へ!?あ、え?」

というか、もう握られてる……!

慌てて握られている手をはなそうとするが結構な力で握られていて抜けそうにない。放っておいても構わないがここが公道だということが高梨を萎縮させる。
気づけば公園の前を横切っていた。

その時…

「高梨ちゃっガフッ!?」

多田が勢いよく前方に吹っ飛んだ。


「はっ、チビはよく飛ぶな」

低くて透き通るような背後から聴こえる。血液がサーッとひいていったのが自分でもわかる。

こっ、この声は……
もしかしなくても…

「い、いっでぇぇえ!!…っ高田ぁああ!殺す!」

多田は瞬時に飛び起きてどこからか現れた高田に掴みかかる。

「うっせえな。喚くな、くそチビ」

「チビじゃねえ!!170あるっつーの!」

その多田の主張を高田は鼻で笑い胸倉を掴む多田の手を軽々と振り払い、呆然としていた高梨に向き直る。

「おい。」

「な、なんだ?」

俺、何もしてないよな?多田と違って根本的に仲が悪いわけじゃないし。

なのに高田の鋭い目に見られると何か気に障ることをしてしまったのかと、記憶を辿ってしまう。
不意に高田の手が伸びてきて思わず目をギュッと閉じた。

殴られる!

そう思ったが殴られることはなく首を腕に挟めて引きずられていた。

「ちょっ、たっ高田!?」

後ろ向きに歩かされてよろよろとよろめき、高田の手ぶら下がるようになる。
顔を上げれば高田のつり上がった目と高梨の目があったとき首に回されていた腕に少し力が入り体が密着する。

「俺と、来んだろ?」

有無を言わせない一方的な言い方に再びポカンと口を開けた。

「何言ってんだよ!高梨ちゃんは俺とデートするんだっつーの!てめえは大人しく家に帰っとけよ」

そう怒鳴りながら多田は高梨の手を引っ張った。引っ張られて高田が簡単に手を放すわけもなく、高梨の首が徐々に締まっていく。

く…苦しい。

「あ?てめえが帰れよ暇人が」

「んだと?つーか、いつまでひっついてんだよ!離せって!」
「ちょっ、多田!あんまり引っ張るなって!首がっ」

そう言って苦しむ高梨をよそに2人の引っ張り合いはヒートアップしていく。

こいつらって何でこんなに…っ

これにはさすがの高梨もキレた。

「いい加減にしろ!!!」

高田の腕も多田の手も同時に勢いよく振り払う。急に怒鳴られ、驚いたのか2人は目を丸くして高梨を見た。

「多田!お前は人の話をちゃんと聞け!!自分の都合の悪い話だけ聞き流すんじゃない!!」

「………………は、はい」

背中を丸めて落ち込む多田を見下ろしながら鼻で笑う高田をキッと睨んだ。

「それと高田!!自分勝手過ぎだ!何でも自分の思い通りにいくと思うなよ!!」

「………………。」

高田は反論しようと口を開きかけたが高梨のあまりの剣幕にばつ悪そうな顔をしながら口を閉ざす。
それでもなお怒りの収まらない高梨はおまけにグーで一発ずつ2人の頭を殴りずんずんと前へ歩き始めた。


そして怒りで頭に血が上ったのか耳まで真っ赤にして言う。

「さ、3人でなら…………その…デートしてやってもいい……かな」


そんな高梨に驚いて多田と高田が顔を見合わせたのは夕方、午後5時過ぎのことであった。


カアカアと馬鹿みたいに鳴くカラスの声が妙に耳に響いた。


end

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リクエストありがとうございました!!
高梨愛され文ですっ

きっとこのあと3人でのデートでも、良吾と多田のケンカが勃発することでしょう!笑

ご期待に添えられる文になれたでしょうかっ!?不安ですが、ぜひ受け取ってやってください!それでは!!

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