シリーズ

□黒に染まる1
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赤く塗られたら、青を

緑に塗られたら茶色を

上から、次々に色を重ねて

塗り潰せ、塗り潰せ


全て混じって

真っ黒になって

もう何が混じっても変わらない


ここが俺の原点


最初の色なんか、知らなくていい。






街外れの公園。
普段人気のない敷地の隅に、数人の人影がある。

「いやぁああ!お願い許ししてぇ!助け…っむぐっ」

「おい手ぇ押さえろ!」

「誰最初にやるよ!?」

「へへ、俺俺!」


夜。数人の少年達によって、少女が地面に引き倒されていた。
泣き叫ぶ少女の口に布切れを突っ込み声を塞ぐ。
少年達は近隣でも有名な不良グループだ。

おおよそ未成年がするとは思えない犯罪行為に平然と手を染めている者も多い、アウトローの集まり。

少女に群がる少年達を、悠然とした態度で眺めている男がいる。

黒字に金のメッシュが入ったウルフカットの少年は、このグループのトップに立つ人間だ。

興味の無さそうな無気力な目で、残酷な宴が始まるのを眺めている。



「あーっと、すみません〜!」


突然響いた、男の声に。
その場にいた全員が驚いた顔で振り向いた。


街灯の下、学生服を着た少年が立っている。

「ちょっとお邪魔します、吉村、大丈夫か?」

少年は、場の雰囲気にそぐわない緊張感の無さで不良少年達の輪の中央へ移動すると、少女を抱き起こした。

周囲の不良少年達どころか、助け出された少女まで固まっている中で、少年は吉村と呼んだ少女の口から布切れを取り出した。

「あらら、服も汚れちまったなぁ。」

「…っお、桜澤君…!?」

吉村が、少年───桜澤の名を呼んだ。


「っふざけんじゃねえぞお前!」

「てめぇ、ぶっ殺す!!」

突然の事に固まっていた少年達が、我に返り桜澤と吉村に詰め寄った。

表情に載せた笑みは絶やさぬまま、桜澤が吉村を自分の背後に隠す。

5人に囲まれて尚、その表情からは余裕が消えない。

余程自信があるのか…?
二人を取り囲んだ少年達の目に殺気が宿る。


「このコ、帰してあげられません?俺の学校の生徒なんですよ。」

桜澤が言った。

「ああ?知るかよボケ!正義のヒーロー気取りかよテメェ。お前殺してからきっちり輪姦してやるよ。」


「そうだ。早く女寄越せ。」

一人が、桜澤の目前にナイフを突き付けた。
キャアッと背後で吉村が悲鳴を上げる。

「いやいや、ただでとは勿論言いませんよ。」

軽く両手を上げ、桜澤が顔から笑みを消し、ナイフを突き付けている少年を見る。

打って変わって射抜くような冷たい目に、一瞬相手は怯んだ。

「何…っ」


「俺が変わりに相手しますよ。」


「は!?」

「俺を、このコの変わりにして下さい。だからこのコ、帰してあげてもらえませんか───?」

ゆっくりと瞬いた、目尻の切れ上がった目。その目元が、仄かに赤らんでいるのは気のせいか。

漆黒の濡れた瞳から、目が反らせない───

少年のものとは思えない桜澤の色香の漂う仕草に、ナイフを持って対峙していた少年は言葉もなく生唾を飲み込んだ。
その容姿は整っているが、決して女性的ではないのに。

周りの少年達がどよめき立つ。

「はあ?!つまり俺らにお前をやれってのか!?きしょい事言ってんじゃねえぞ!!」

「ふざけやがって、おい、早くこいつぶちのめして───」


「面白ぇ。」


場に一気に緊張が走る。
声を発したのは、それまで傍観していたリーダー格の少年だった。


「亨(とおる)さん!?」

一人がその名を呼んだ。
少年達の視線が亨と共に移動する。

「いいじゃねぇか、試してみようぜお前ら。ただ女ヤるのも飽き飽きしてたしよ。」

亨は言いながら、とうとう桜澤の目前に立った。

亨の身長が180cm。桜澤はそれより若干低い。

「お前、俺ら満足させられんの?」

「さあ?試してもらわない事にはどうとも…」

照れ臭そうに笑う桜澤に、亨は唇の端を吊り上げ笑った。

「分かった、試してやる。」








「ん、ふ…っ」

桜澤が口だけのレベルだったら、吉村を犯す。

その約束に笑顔で頷き、今、桜澤は亨の股座でその雄を口に含んでいる。

慣れた口淫に、亨が低く呻いた。

なる程、自信があるだけはある。今まで経験したどのそれより上手い。

歯を決して立てず、単調に出し入れするだけでなく絶妙のタイミングで吸う。

桜澤の立てられた髪を鷲掴み、亨は思わず腰を振りたくなる衝動に耐えた。
上目遣いに桜澤がそれを見、目だけで笑う。
まるで娼婦(プロ)の目だ。
余裕たっぷりの、その表情。

「っ亨さん、先にケツ貰っても良いですか…?」

桜澤にナイフを突き付けた少年が、自分のベルトのバックルを外し、既にいきり立った自身を取り出した。



 
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