シリーズ
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「こっちです軍司さん!こっちこっち!」
「お、おう、どうしたんだ星野?」
その日、星野美幸は愛してやまない先輩、石神軍司を学校の当直室へと連れ込んでいた。
当直室は昔は使われていたが、今はセキュリティーシステムを機械に任せているため、現在はその部屋は使われていない。
そして当然のごとく、
星野は石神に切り出した。
「軍司さん!不破君と何処までやっちゃったんですか!?」
「ぶーーー!!」
「愛に向かって突っ走れ!5」
「腰がダルそうな雰囲気とかは見受けられないので、最後まではいってないとは考えてるんですが…」
「あああっ当たり前だろ!?最後までって何だ最後までって!」
冷静に淡々と状況分析する星野に、石神は顔を真っ赤にして叫んだ。
かっ可愛い…!
鼻血が吹き出る!とか思うも、星野の中では他の疑念がムクムクと湧き上がる。
いや、どちらかといえば今朝石神を見た瞬間からとっちめねばと思っていたのだが、星野は改めて石神に真剣な眼差しを向けた。
その星野の表情に、石神も真剣な顔付きになる。(←つられて)
「じゃあ、どんなことされたんですか?」
「は?!」
「首にそんなイヤらしい痕付けられちゃうなんて、かなり際どい事されてますよね…?」
じりじりと星野が石神ににじり寄る。
その言葉に思い出したくもない体験を蒸し返された石神は、嫌な汗が額から滲むのを意識しながら後ずさった。
放課後の、橙色の西日が差し込む狭い和室。
細身の少年がじりじりと真剣な顔で、体格の良いスキンヘッドで顎髭を生やした先輩を追い詰めている。
倒錯的で分けの分からない斬新な光景だ。
「ど、どんなって…っ」
「軍司さんがそう簡単に押さえ込まれたなんておかしいし…もしかして縛られたりしました?」
「!!」
「図星ですか…。怖いなぁ不破君。あれで意外と頭も使うんだ…」
「まぁ確かに…ってちょ、ちょっとおい星野!?お前何してんだ!?」
星野に同調し石神も溜め息を吐いた、次の瞬間。
我が身に起きた出来事に、石神が慌てた声を出した。
背後に回されひとまとめに縛られた両手、と。
自分の至近距離でニッコリと笑む、星野の無邪気な笑顔───
「………どうしたんだ、星野。」
慌ててはいけない。
石神は自分を無理矢理に落ち着かせると、努めて冷静に、言った。
そんな石神の努力を無にする一言は、彼の口からあっさりと放たれる。
「いや、俺は石神さんに不破君以上のことしなくちゃと思って。」
その星野の一言に、石神は一気に気が遠くなるのを感じた。
千景以上って?あれ以上ってもう何すんの?
「ああああっもうこんなあちこちに…!不破君やりすぎだよ!」
「なっおい星野…!?んん…っ」
石神が気絶寸前まで追い込まれている隙に、星野は行動を起こしていた。
石神のカッターシャツのボタンを丁寧に外し、現れた瑞々しい肌に舌を這わせる。
勿論直前に星野が上げた悲鳴は、石神の胸や腹に無数に散らされた不破のキスマークに対してだ。
「おおおいっ!?何してんだ星野!?やめろ!!」
押し入れの襖に立ったまま押し付けられ、石神は星野を見下ろし叫んだ。
石神が少し蹴るなりして抵抗すれば簡単に逃げられそうだが、自分のように体格の良い男が蹴飛ばしたら、星野は折れてしまいそうな気がする。冗談抜きに。
それは可哀想だと思う。
悲しいかな、石神はかなりのお人好しだった。
そのお人好しな石神が葛藤している間にも、星野はどんどん行為をエスカレートさせていく。
最初、均等についた筋肉の形をなぞるように動いていた舌が、石神の桃色の乳首を捕らえた。
石神の体がびくりと跳ねる。
「ほっ星野…!」
「軍司さん。不破君にはどんなことされました?まさかここも弄られちゃってます?」
「っわ!?」
下から見上げてきた星野。銀フレームの眼鏡の奥の瞳が妖しい。
片手でベルトを外すと、そのまま右手をスルスルと石神のインナーの中に侵入させた。
まだ反応していない石神の性器を緩く握り込む。
「こら星野っお前いい加減に…っ」
「嫌です!」
顔を真っ青にさせた石神の言葉に、星野は強い口調で拒絶した。
何だ!?と石神が自分より身長の低い星野を見やれば、相手はとても真剣な顔をしている。
その眉が、切なげに寄った。
「俺は軍司さんが好きなんです!毎日軍司さんの事で頭がいっぱいで、軍司さんの事を想うと胸が苦しくて、でもアナタの笑顔をみると幸せで…!なのに、不破君なんかに手を出されて平気なわけないじゃないですか!そんなの耐えられません!」
今にも泣き出しそうな顔で必死に言った星野は、そのまま伸び上がり石神の唇に口付けた。