シリーズ

□馬鹿弟初号機発動中1
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「そこで、だ。俺は考え付いた。俺が既に経験済みになっておき、奴らにヤられた時に「こんな程度でビービー泣かせるとか何言っちゃってんのwww勘違いwwwウザwww」とか軽くあしらってやったらスカッとす」

気が付いたら、俺は康平の坊主頭に鉄拳を振り下ろしていた。

「何言ってんだこの糞馬鹿野郎!!」

「ってぇええーーー!!何すんだよ兄ちゃん!?この…っ」

「何すんだよじゃない!自分が何を言ってるか考え直してみろ!」

掴みかかってきた康平の首をホールドし、畳み掛ける。

「それになぁ康平。仮に兄ちゃんがお前を抱くことを決意しても、無理だ。勃たない。お前に性的魅力を感じられるわけがない。」

10も年の離れた弟。
年の近い兄貴が二人もいて忘れた頃にポッと出来た弟のお前を、それはもう実は結構可愛いと思ってる。
どんなに悲惨で阿呆なイタズラの甚大な被害を被らされようともだ。
しかし、だからと言って性的な意味で可愛いとは絶対思えない。
男同士で、兄弟で。お前の裸なんて15年間見てきたわけで、つか今でも風呂上がりにフルチンで家の中を歩き回るお前にどうやって興奮しろと。


「うーん、確かになぁ…」

説明し終え手を放した俺に、康平は神妙な顔で頷いた。
俺と似て眉尻の上がった眉をしかめ、うんうんと唸っている。

「それもそうだよな。…分かった。」

「そうか、今後も馬鹿な考えは捨てろよ。」


「兄ちゃんの友達で男オッケーな人紹介してくれ。」


怒るより先に拳骨が出た。









「アッハッハ!ヒィイーッ康平マジウケる!ハハハッ」

「笑い事じゃねぇよ!馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、ここまでとは…」

居酒屋で、親友の誠に話しながら頭を抱える。
こっちは弟の馬鹿さ加減に真剣に悩んでるっていうのに、誠の奴は大爆笑して涙まで流している。

田端家の不幸がそんなに面白いのかテメェは…

「でも潤弥さあ、康平の話マジだったらどうすんの。」

「はあ?」

笑い終えた誠の、突然の言葉。
何が。

「だから、本当に康平がレイプされちゃったらどうするの。」

えええええっ
康平が?レイプ?いやあれは男で、しかも可愛い路線の顔もしていないし。
どんな物好きでも手を出してこないだろ。

「無いだろ〜…アレだぞ?」


「いや、結構良い顔してるよ?あんなキャラじゃなきゃ絶対モテてるよアレは。」

そうか…?だってあれ、ゴキブリさえ手掴みで投げてくる15歳だぞ。
いやモテねぇだろ…

「ね、康平俺にヤらせてよ。」

誠が整った顔をニヤリと歪ませ、言う。
俺は我が耳を疑う。

「は!?」

「俺だって康平の事は15年可愛がってきたんだぜ。他の奴に初めて喰われるくらいなら、俺がヤル。」

真顔の誠。お前酔ってんのか?

「駄目じゃボケ!どこの世界にそれを許可する兄貴がいるんだ!」

「じゃあどうすんの?黙って康平がヤられる日を待ってんの?」

「う…いやそもそも基本を何とかするべきだろ。アレだ、あいつに喧嘩の極意を教え、そんな目に遭わなくても済むようにコーディネートしてやるのが兄貴の役目だ。」

「ぶー!こ、コーディネートって何コーディネートってっつかお前に喧嘩の極意とか分かるのかよ!?」

「失礼な!必殺酔拳!」

「馬鹿だよコイツっ」

爆笑する誠相手に酒を煽る。
話題はそのまま自分達の仕事関係の方向に流れていった。









誠と別れ、自室のあるアパートに帰ってきたのが夜中の0時ちょい過ぎ。

ぽわぽわと浮く脳みそ。
現実に一枚幕掛かってる感じが気持ちいい。

エレベーターで4階上がって、廊下を歩き、扉の前へ。

「たぁだいまー」

鍵を開けて、中に入って扉を閉めて、鍵かけて。
自分が歩く度にドタバタと大きな音が出る。
部屋の扉を開けると、そこには康平が寝ていた。

「んー?康平何でいんだ??」

後から考えれば、自由に俺の部屋に出入り出来る康平は、お気に入りのTVゲームをしに遊びに来ていた事は容易に知れるのに。

しかしながら、俺はこの時、酔っ払いだった。

「何だお前、そんなに兄ちゃんとエッチしてーの?仕様がないな。」

仕様がないのはお前だと突っ込みを受けても仕方ないようなセリフを吐き、俺は康平が着ている掛け布団を剥ぎ取った。
康平の体から立ち上る石鹸の匂い。
最近女を抱いていなかった俺は、今からヤるという久々の快楽に対する期待にもう周りが見えていなかった。第一酔ってたし。

スヤスヤと規則正しい寝息を立てている康平のシャツを、強引に脱がせる。
白い肌が露わになる。
野球少年だった康平は夏の間は真っ黒に日焼けしているが、冬の間だけで脱皮したかのごとく元の色に戻るのだ。


 
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