シリーズ

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「お前も毎回毎回よく飽きもせずに続けるよな〜。」

後ろから圭人の飽きれ果てたような声。
と共に背中に鈍い衝撃が。バサッと音がしたあたり、本でも投げてきたんだろう。
しかしこんな悪魔に構っている暇は無い。俺にはまなみを守という使命があるんだ。

「おいアッキー、侍から忍者に転職する気?グレード下がってるじゃん、ダセー。」

一人で言ってゲラゲラ笑っている悪魔。
つか俺侍じゃねぇし。何か勝手にみんなが呼んでただけだし。
そう言えば俺、何で侍なんて呼ばれてたんだろう。剣道とかやってるわけでもないのに…

壁に押し当てたコップ越しに聞こえてくる英語。
まなみと梶田は今英語の勉強中らしい。
くそぅ、俺だってそのぐらい教えられ

いや何言ってるか分からん…。


梶田が我が家に来だして早1ヶ月。
とりあえずまなみにちょっかいを出しそうな雰囲気はない。
いやー1ヶ月か、早いもんだなぁ。
俺も色々あったけどこうして平和に生きてられるのが奇跡だ本当に。

日常が大事なんだよ。無くしそうになって初めて幸せって分かるんだよな。

「よし、じゃあ俺もまた協力してやるか。」


言った圭人が一旦窓を開けて自分の部屋に帰っていった。
何かクローゼットとか開けてガサガサやっている。
え、協力するって?まさか隠しカメラとか持ってんじゃないだろうなアイツ…

「はいはい。」

再び部屋に侵入してきた圭人の手には、黒の長い紐。

紐…?

「え、ちょ圭人それでどうすんの。」

「こーするの。」

圭人が大層綺麗な笑顔で紐を握っている。
いや、やばいやばいやばいこの笑顔の時は本当にやばい…!

「圭人…!?」

「動くなよ〜。」

俺の格好はと言えば、膝立ちで壁に耳押し当てている偵察スタイルなのだが、あれ、うわ、何故…!

「はい完成。」

後ろ手に縛られて、更に膝と足首、そして首にも紐がかけられている。
え、何だこの変態っぽい縛られ方…!?

「ほら、これでずっと同じ格好でいられるだろ。こんな馬鹿なアッキーに付き合ってあげてる俺って超良い奴〜」

「何言ってるんだ馬鹿野郎!解けよ!」

うぐっ動くと首が締まる…!

「…はあ?今何つった。」

「へ?」

「今、何つった。」

背後から聞こえてくる圭人の低い声。
嘘、マズい。これはマズい。


「あの、この紐を解いて下さらないかと…」

「で?」

「…。…お、お馬鹿野郎様、と言いまし」

ゴッ

鈍い衝撃が額を襲う。
圭人が俺の頭を鷲掴んで壁に叩き付けた。
いってぇ…何か耳鳴りが…
しかも首も締まってるし…

「全裸にしてから縛れば良かったなぁ。ちょっとやりにくいかも。」

ハーフパンツと下着を強引に下げられ、漸く圭人がしようとしている事に感づく。
嫌です、俺は無理です。

「圭人、悪かった、言い過ぎた。勘弁してください…!」

「うん俺すっげー傷付いた、だから頑張って慰めてね。」

「いやいや無理…っ本当にごめんなさい…!」

「うんお前の意見なんか聞いてないから」

ですよね。

身を捩り逃げようともがくも、紐が首に食い込み正直大して動けない。
どうしようまたヤられてしまう。
あれはまあ気持ち良いのは確かかもしれないが、無理だ。
恥ずかしさとか情けなさとかが思わず自殺したくなるレベルだ。

「嫌だって…!」

首を少しだけ回して圭人に必死に訴えてみる。
つか俺ケツ丸出しですんげー間抜け。何ですかこの格好は。

「まあお前が嫌がるからヤるんだしね、楽しいから。」


!な、何という悪魔発言…!
お前、幼なじみの俺にそこまで嫌がらせしてどうするんだ…!何がしたいんだ…!

うん?待てよ、じゃあ俺が嫌がらなければコイツはやる気を無くすのか…?
大分気持ち悪いが、AV女優ばりに煽るような事を言っている自分をちょっと想像してみる。
うわ本当にキモい。俺みたいな不細工が言ったらギャグにすらならない。
つか第一男だし。

しかし、だからこそ俺は確信した。
この手でいくしかない。
今少し恥をかくだけで、この後の最悪展開を防げるなら安いもんだろう。

「け、圭人…っ」

頑張れ俺、明るい未来のために。
ギリギリまで首を回して、圭人を見上げる。
やはり圭人は美形だ。俺相手にこんな事をしているのに圧倒的に美形だ。
世の中間違ってる。

「な、ななっ中に入れて、か、掻き回して…っ」

やばい滅茶苦茶どもった。

「何で?」

「え?」

「何で掻き回して欲しいんだよ?」

え…!?そこに説明を求めるんですか…!?

「あ、あの…っ」

「うん?」

「ゆ、ゆゆゆ指、とか?」

「違うだろ。」

「違うのか!?」

じゃあやっぱあっちか?


 
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