シリーズ

□3
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『潤弥ごめんね、今時間いい?』

「おー大丈夫だよ、どした?」

『実は母さん潤弥にお願いしたいことがあってね』


そうして母さんが話し出した内容に、俺は二つ返事で用事を引き受けた。








「馬鹿弟初号機発動中3」









今週末、母さんと父さんが夫婦で旅行に出掛けるので、出来れば実家で康平を見てやって欲しい。

それが母さんの要件だった。
後ろで康平が「留守番くらい一人で出来るわー!」と大騒ぎしているのが聞こえたが、俺に断る理由は無い。
康平なんかを家に一人にしたら何しでかすか分からねぇからな…

前にあいつを家に一人にしたら飼い犬のマルオは白い毛並みの筈が真っ黒になってるわ、家中墨汁まみれだわで凄いことになった。
要は康平が「犬拓を採る!」などと意味不明なやる気でマルオに墨汁をぶっかけたのが原因だったわけだが…

あの日以来、我が家では康平に長時間一人になるチャンスを与えないことになっている。
前回はたまたま家中が墨汁まみれになっただけで済んだのだ。
次はどうバージョンアップするのか。考えただけで眩暈がしてくる。


『ヒャーッハッハ!ダセー!こんなんで涙目なってんじゃねーよー!ギャッハハハハハハー!』

頭の中に、トイレから飛び出し呆然としている俺に指を突き付け笑うクリクリ坊主頭の小鬼の顔が浮かんだ。
悪戯が成功した時のあいつの悪い笑顔ときたらもう。康平は絶対に本質がドSなんだろう。

まあ俺にかかれば一発で泣き顔行きだけどな。

『あっああっにいちゃぁっにいちゃん…!』

頭の中の映像は一瞬で切り替わる。
普段の姿からは想像も出来ないほど、俺に突き上げられては可愛くヤらしく泣く康平。
縋ってくる腕のたどたどしさや、震え揺らめく腰に、俺も何度絶頂を味わわせてもらったか…


ってはあああ!?駄目だ駄目だ俺!もういい加減にしねぇとマジで…!
康平は弟なんだぞ、いや今更わざわざ再確認することでもねぇけど、しかも今までの2回が殆どレイプ状態。康平に酷いことをしている。
康平があんなキャラじゃなかったら、俺とっくの昔に社会的に終わってるぞ。

つか康平は俺のことどう思ってるんだか…相変わらず遊びに来るし馬鹿だし真っ裸だし…

で俺はちょっとムラムラっと来るけど何とか堪えてるっつうか。

もしかして誘ってる?とか、自分でも即刻否定なアホな妄想交えたりして。

…兄として信用されてるからだよな、最低だな俺は…







「ただいま〜、康平ー、飯食ったかぁ?」

久し振りに帰った実家は一階のリビングがが真っ暗で、廊下とトイレ、そして二階の康平の部屋にだけ明かりがついていた。
とりあえず他の明かりを点けて状況確認。
うん無事だ。全体的に何事も起きていない。

「おい康平ー、飯食ってないならどっか食いに行くかー?」

廊下を上がりきって最初に左手にある康平の部屋。扉を開けながら尋ねれば。

「あれ…」

ベッドの上、仰向けにひっくり返って寝ている康平が目に入った。
また野球部に入ったらしいし、多分疲れて寝てしまったのだろう。
あどけない寝顔。軽く開いた口の端から涎が垂れる寸前だ。

覗き込みながら覆い被さり、康平の頬に手を添える。
何度か味わった康平の柔らかい唇や舌の感触が思い出され、寝てるしちょっとだけ、ちょっとだけ…!という衝動に突き動かされる。

軽く唇を重ねて、ふにふにと柔らかな唇を上下と唇で軽く噛み、舌先で軽く撫でる。
ジーンと、合わさった唇が痺れるほど気持ちいい。

角度を変え、康平の小さな口に深く口づける。

「ん、ふぅ…」

康平がやらしく息を吐く。
どうしようやっちまおうかな、なんだかんだで一週間振りだぜ、彼女いた時にこんな期間空けた事無かったぜ、俺溜まっちゃってるんですけど…!

止まらない勢いのままに舌で康平の口の中を舐め回す。
康平の眉根が寄り、吐き出される息がますます艶めかしく変化し出した。
ピクンピクンと反応する康平の体、無意識に俺の舌を押し返す舌。

あああ俺結局何やっちゃってんの寝込みを襲うとか最低ってかもう息子がギンギンですよ康平の口だけじゃなく全身舐め回したいですよマジでやっちゃう?いいんじゃん?今更じゃん?なんだかんだで康平もいつも感じてるし…!

やっちまえ

「康平…」


「変質者死ねやぁあああ!!」


部屋の入り口から物凄い濁声。
見れば、頭が銀と黒のゴチャゴチャしたよく分からない男が拳を振り上げ突進してくる。
な、何だ何だ何だ!?
康平を跨いだままそのパンチを右手で受けた。
い、いてぇええ…!

「なっ何だお前…!?」

「うっせぇどっから入ったんだてめえ!康平君から離れろ!」

「いや俺こいつの兄だし!」



 
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