ノベル
□現在授業中(エロ)
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いつもの朝、いつもの友人との挨拶。いつものさして面白くない授業。
…いつもの窓際の空席。
(…だりぃ。)
もう既に教師の言葉は右から左へ流れている城之内。ちらりと遊戯を見ると、一生懸命ノートをとっている。本田は…寝ていた。
(こんな天気が良いのに、じっとしてんのもなぁ。…お、そうだ。)
ふと思いつき、手を上げ、
「すんません、先生ー。ちょい腹痛いんで、トイレ行って良いっすか?」
「早く済ませてこい。」
(やったぜ!)
思惑通り、教室から出た城之内。
(こんな日は、屋上で、昼寝だぜ!)
その城之内の行動の五分後。再び教室のドアが開かれる。
「失礼します。」
教室にいた全員が振り向く。そこにいたのは、
「海馬くん!」
「海馬くん!久しぶりだね!」
自分の席に付くなり、遊戯がやたら笑顔で話しかけて来た。何をそんなに笑う事があるのだ…
「海馬君、仕事忙しいのに大丈夫なの?」
「ふぅん、俺が学問と両立が出来ん男に見えるか」
「えへへ、そうだよね」
「会社の方も片手間になんないように気をつけなさいよね」
ぬぬぬぅぅ…!この女、俺に指図するとは…!
「こんなヤツが社長で本当に大丈夫かぁ?」
ええいウルサイ
それから遊戯の周りの奴らが、授業中にも関わらず俺の事でガヤガヤと騒ぎ出した。
全くやかましい…!少しは黙れんのか
「コラー、お前らうるさいぞー。
あと海馬。お前、遅れて来たから、職員室に遅刻届け出しに行けよ」
む…
「ハイ、先生」
この騒がしい場所から抜けられる
そう思った俺は、席を立ち、教室を出た
廊下に出ると、教室から微かに聞こえてくる程度の静かな空間になった。
(冬にしては天気が良すぎるな。春のようだな。)
すると、海馬はふと思った。
(たまには学生らしく、さぼってみるか。あそこに戻っても、騒がしいだけだろうしな。)
最近は会社のスケジュールを詰めに詰めていて、今日は久しぶりの学校だったのだ。
多少、うんざりしていた海馬は、あっさりこの考えを実行する事にし、屋上に向かった。…急用で、会社に戻ると、ご丁寧に嘘までついて。
屋上の階段を一歩一歩上っているうちに、教室からわずかに聞こえていた生徒達の声は、全くといっていいほど聞こえなくなっていた。
ガチャ
「ハァ…」
誰も居ない屋上に、ただ青空が広がっている
ゆっくり出来そうだ
…と思っていたら
どこかで見たマヌケ面が隅の方で寝ている
「…ッ凡骨め…俺の邪魔をするとは」
…近付いていったら気付いて起きるだろうか?
一歩
さらに一歩
また一歩と近付く
結局隣に座り込んでしまった
「…フン、マヌケな顔で寝ているな」
隣にいるというのに、城之内はぴくりとも起きない。静かに寝ている。
「…ふん、どこまでの警戒心のない奴だ。」
城之内の髪に触れる海馬。意外と柔らかい感触に、内心少し驚いた。
そのまま撫でてみる。…城之内は起きない。
「…。」
平日の学校。屋上で、男二人が授業をさぼり、一人は昼寝。片やその男の頭を撫で続けているシュールな光景。海馬はふと、ため息をついた。
(…何故、俺はこいつの傍にいたいと思うのだ?)
いつもは喧々囂々と煩い相手は、自分の傍で静かに寝ている。そして自分は頭を撫でている。しかも、それを心地よいとさえ、思っている。
(…わからん。)
海馬が一人、悶々と自問自答していたそのとき、
「…ん。」
城之内が寝返りをうち、仰向けになった。
「…。」
海馬は城之内の寝顔を見て、何故か引き寄せられるように顔を近付け、
唇を合わせた。