ノベル

□現在授業中(エロ)
1ページ/4ページ

いつもの朝、いつもの友人との挨拶。いつものさして面白くない授業。

…いつもの窓際の空席。



(…だりぃ。)

もう既に教師の言葉は右から左へ流れている城之内。ちらりと遊戯を見ると、一生懸命ノートをとっている。本田は…寝ていた。

(こんな天気が良いのに、じっとしてんのもなぁ。…お、そうだ。)

ふと思いつき、手を上げ、

「すんません、先生ー。ちょい腹痛いんで、トイレ行って良いっすか?」

「早く済ませてこい。」

(やったぜ!)

思惑通り、教室から出た城之内。

(こんな日は、屋上で、昼寝だぜ!)

その城之内の行動の五分後。再び教室のドアが開かれる。

「失礼します。」

教室にいた全員が振り向く。そこにいたのは、

「海馬くん!」




「海馬くん!久しぶりだね!」

自分の席に付くなり、遊戯がやたら笑顔で話しかけて来た。何をそんなに笑う事があるのだ…

「海馬君、仕事忙しいのに大丈夫なの?」

「ふぅん、俺が学問と両立が出来ん男に見えるか」

「えへへ、そうだよね」

「会社の方も片手間になんないように気をつけなさいよね」
ぬぬぬぅぅ…!この女、俺に指図するとは…!

「こんなヤツが社長で本当に大丈夫かぁ?」
ええいウルサイ

それから遊戯の周りの奴らが、授業中にも関わらず俺の事でガヤガヤと騒ぎ出した。

全くやかましい…!少しは黙れんのか

「コラー、お前らうるさいぞー。
あと海馬。お前、遅れて来たから、職員室に遅刻届け出しに行けよ」
む…

「ハイ、先生」

この騒がしい場所から抜けられる
そう思った俺は、席を立ち、教室を出た



廊下に出ると、教室から微かに聞こえてくる程度の静かな空間になった。

(冬にしては天気が良すぎるな。春のようだな。)

すると、海馬はふと思った。

(たまには学生らしく、さぼってみるか。あそこに戻っても、騒がしいだけだろうしな。)

最近は会社のスケジュールを詰めに詰めていて、今日は久しぶりの学校だったのだ。
多少、うんざりしていた海馬は、あっさりこの考えを実行する事にし、屋上に向かった。…急用で、会社に戻ると、ご丁寧に嘘までついて。



屋上の階段を一歩一歩上っているうちに、教室からわずかに聞こえていた生徒達の声は、全くといっていいほど聞こえなくなっていた。


ガチャ


「ハァ…」
誰も居ない屋上に、ただ青空が広がっている

ゆっくり出来そうだ


…と思っていたら

どこかで見たマヌケ面が隅の方で寝ている

「…ッ凡骨め…俺の邪魔をするとは」

…近付いていったら気付いて起きるだろうか?

一歩

さらに一歩

また一歩と近付く

結局隣に座り込んでしまった

「…フン、マヌケな顔で寝ているな」

隣にいるというのに、城之内はぴくりとも起きない。静かに寝ている。

「…ふん、どこまでの警戒心のない奴だ。」

城之内の髪に触れる海馬。意外と柔らかい感触に、内心少し驚いた。
そのまま撫でてみる。…城之内は起きない。

「…。」

平日の学校。屋上で、男二人が授業をさぼり、一人は昼寝。片やその男の頭を撫で続けているシュールな光景。海馬はふと、ため息をついた。

(…何故、俺はこいつの傍にいたいと思うのだ?)

いつもは喧々囂々と煩い相手は、自分の傍で静かに寝ている。そして自分は頭を撫でている。しかも、それを心地よいとさえ、思っている。

(…わからん。)

海馬が一人、悶々と自問自答していたそのとき、

「…ん。」

城之内が寝返りをうち、仰向けになった。

「…。」

海馬は城之内の寝顔を見て、何故か引き寄せられるように顔を近付け、

唇を合わせた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ