ノベル

□屋上にて
2ページ/2ページ

その日も 海馬が来ている昼休み 俺は屋上に上がった

(今日は来るのかな)

ドアの方は見ない
グランドを見下ろして 外で遊んでる生徒を見てるふりをしておく

この下を海馬が通ったらどうしよう なんて考えながら


ガチャ

来た

そっとドアの方を振り返る
「高いところから見下ろす景色はそんなに楽しいか?」

バカは高いところが好きらしいからな と付け加えながらこっちに歩いてくる

相変わらず嫌な奴だなぁ……

海馬も俺の横で景色を眺める

「あそこにあるの、海馬コーポレーションだろ?」
「ほう 凡骨でも知っていたか」
「よく見えるんだよ あんなでかいビル余り無いから」
「当然だ 俺が設計したからな」
「じゃあお前もバカじゃ…」
「貴様と一緒にするな」

口を開けば大概イヤミしか言わないが
それでも 海馬の声を聞いてると落ち着く
落ち着くけど、ドキドキするんだ

こつ、と海馬に軽くもたれかかった
あ、海馬のいい匂いがする
「……どうした犬」
細長い指先で髪を撫でてくれる

幸せだ 一生この時間が続いてくれればいいのに

「海馬」

「なんだ」

「好き」

「……フン」

髪を撫でる手が止まる

海馬の方を見たら、俺とは反対の方に顔をそらしていた

「海馬」
「うるさい」
海馬の方を向いて何度も呼ぶ

そのたびに 黙れとか うるさいとか言って 顔を見ようとしたら かわされる

「好きだぜ…」
「……黙れ…」

耳が真っ赤なのが見えていて、嬉しくて、へへ、と笑みがこぼれる

可愛い 守りたい

そっと後ろから抱きしめる
冷酷なやつだけど 人間だから当然体は暖かい
「海馬あったけぇ…」
「人を暖房代わりにするな」
くすぐったそうに、海馬が俺の腕の中でもぞ、と動く

「海馬」
肩を軽く引っ張り こちらを向かせる
割と抵抗せずに 素直にこっちを向いてくれた

「ん……」
唇を重ねる

ちろ、と唇を舐めたら、海馬が小さな口を開け おずおずと舌を差し出してくる

ぴちゃぴちゃと舌を絡ませ合う
時折 海馬の歯列をなぞると 甘い喘ぎ声を漏らし 俺の制服をぎゅっと掴んできた

「ぁふ……」

唇を離す

海馬の白い頬が赤く染まって いつも冷たく睨み付けてくる目が 別人のようにとろんとしていた

やべっ…そんな顔すんなよッ……!
俺は慌てて海馬から離れて 柵の縁に顔を伏せた
「…どうした?」
その声もなんかイヤラシイ………///

「ちょっと待って…落ち着くまで待って」
気付かれないように そっと精神を落ち着かせる

「何を落ち着かせるつもりだ?」
あ…バレてる?
「…気持ち!」

「下半身にあるものではな…」
「あー!あー!うるさい!そうだよ!」
くそー!せっかく隠してたのに!

海馬を睨みつけるも 嬉しそうに クク、と笑われて 許せてしまう

「興奮したのか?」
「ウルサイ」
耳元でからかわれる
「握ってやろうか」
「今そういうこと言うな…!」
せっかく落ち着いてきたのに!

「城之内」
「…?」
珍しく呼ばれて ふっと顔を上げる
「俺は今日の夜、仕事が終わったら屋敷にいるが…」
「うん」
「来るか?」

……!
「行く!」

「気付かれないように入ってこい」
「ああ!」

「続きをしてやる」
勝ち誇った顔でフンと鼻で笑われてムッときた
「お前こそ覚悟しとけよ」
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ