幸せ家族計画U

□か
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「ねえ柳。英語の宿題やってる?」



「ああ。次の授業で提出だからな」



ある日の昼休み。

教室で昼食をとっていた柳のもとに、同じ部活の仲間であり隣のクラスの幸村がひょこりと姿を表した。



「さっすが柳。確かうちのクラスと宿題一緒だったよね?」



「ああ」



担当する英語教員が同じ為、そして進み具合も同じなので違うクラスではあるものの出された課題は同じものだった。

それは先日部活中に知ったのだが、それをもう一度確認する幸村。

そして柳の答えに嬉しそうににっこり笑って手を出して。



「見せてくれない?」



「……精市」



「だってめんどくさいんだもん」



「宿題は自分でやらなければ意味がないと思うが?」



「仲間同士の助け合いって大切だよね」



「まったく…」



咎めるように名前を呼べばにこやかな笑みを浮かべたまま返される言葉に、思わず柳は呆れたようにため息を吐いて。

しかしそれでもプリントを机から出すあたり、甘いのかそれとももう諦めているのか。



「今日までなのか?」



「ううん、明日」



「……ならまだ時間はあるだろう」



「仲間同士の助け合いって…」



「もういい」



また繰り返そうとした幸村の言葉を遮り、しっかりと回答の書かれたプリントを押し付けるように差し出す。

そして口にした言葉に、幸村は頷きながら受け取って。



「早く返してくれ」



「次の時間提出だっけ?」



「ああ」



「そっか…」



そう呟いたあと、にこり、素晴らしい笑みと共に発された言葉に、柳は先ほど手放したばかりのプリントを素早く掴み直した。



「分かった、」





必ず明日返すからさ!

(次の時間に提出だと言ったはずだが?)(あはは冗談だって、だから手を放してよ)(………)(信用ないなあ。仮にも俺部長なのに)(日頃の行いだ)



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