幸せ家族計画U
□の
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「骸ー、ノート貸して?」
「……またですか」
1時間目の授業が終わり、次の授業が始まるまでの休み時間が始まったと同時に教室に入ってきた幸村は、挨拶もそこそこに、そう骸に話しかけた。
それに対し、骸は呆れたような表情を浮かべつつも、予想していたのだろう―骸の言葉からも分かるよう、こんなことは過去に1度や2度ではないのだ―机の上に出したままであったそれを幸村のほうへ差し出して。
「一体何度目ですか」
「遅刻はそんなにしてないよ?」
「…ノートを貸す回数のことです」
ノートを受け取りながら笑顔で首を傾げた幸村に、骸はあきらめたようにため息をつきながら力なく突っ込んだ。
しかし一方の幸村は骸の様子など気にする素振りも見せず、「さすが骸」と言いながらパラパラと中身を見る。
それはまるで骸の性格を表すかのように、綺麗にまとめられていて。
「なんていうか…いつ見ても落書きしたくなるようなノートだよね」
「やめてください」
「やだなあ、ホントにはしないって。いつもちゃんと我慢してるじゃない」
「当たり前ですよ」
「えー」
「えーじゃない!」
冗談のような内容であっても、幸村ならばやる。
本気でやる。
それを今までの付き合いから身を持って知っているためか、骸の反応は速かった。
その反応に幸村は拗ねたような、どこかわざとらしい表情で返し。
丁度2人の近くを通りかかったディーノに声をかけた。
「ねえディーノ、」
ノートに落書きは必須だよね
(…はあ?)(せめて自分のにしなさい自分のに!)(えー、それじゃあ面白くないじゃない)
ちなみに「ね」の続きだったり。