幸せ家族計画V

□れ
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雲雀家の兄妹達が通う、某中学校。

そこで開かれた文化祭1日目、生徒会長として見守り―という名目のもと実際はただ文化祭を回って楽しんでいるだけだが。父兄や地域住民にも門扉が開かれる明日はおそらくあまり暇はないので―を行っていた綱吉は、妹であるリョーマの教室にたどり着くと、思わず妹を力一杯抱きしめた。



「なにこの可愛い子…!」



「ちょ…綱吉、綱吉苦しいってば」



そう言って放せと綱吉の背中を叩くのは、ふわふわひらひらとした、お姫様と呼ばれる者が着ていそうなドレス姿のリョーマ。

最近伸びてきた黒髪も、いつもと違い服に合わすように頭上で結われている。

とそこに、これまたおとぎ話の中から抜け出してきたかのような格好をした二人がやってくる。



「…綱吉先輩、リョーマが苦しがってますよ」



「っていうか姫にバグするのは王子なんだけど」



苦笑混じりに言った前者は騎士の格好をした裕太で、拗ねたようにこぼしたのは言葉通り王子の格好をしたベルフェゴール。

二人とも背が高く整った顔立ちのため、違和感なくよく似合っていた。



「マジで可愛い…ちょ、後で写真撮ろうそして亮兄達に自慢する!」



「ちょ…だから苦しいってば、ねえ、ツナ兄?」



しかし一方の綱吉はといえば、可愛い妹しか眼中にないようで。

ここ最近はクラスの準備や生徒会での仕事、そしてそんな時でも―いや、むしろそんなストレスがたまりまくりの時だからこそ―やっていたゲームにと、時間に終われて疲れていた綱吉のテンションはなんだかおかしいことになっていた。

クラスの目玉とも言えるほど完成度の高い三人と、そのうちの一人をぎゅうぎゅうと抱きしめている生徒会長といえば図はかなり周りから注目を集めているのだが、どうやらそれにも気づいていないらしい。

そしてそんな兄にリョーマが本気であきれ始めた頃。

綱吉はやっと抱き締めていた腕をほどき、その手をリョーマの肩へと持って行って。



「俺、今ならリョーマと結婚できる!」



そして力一杯言い切った兄に、しかし妹は冷めた目を向けた。








恋愛するのは本人の自由だけど…ごめん、殴っていい?

(それはやだから抱き締めとく)(あのねえ…)(シシッユータ羨ましそ〜)(ば…っ!んなわけあるか!!)(…リョーマはあげないよ?)(…!!)


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