幸せ家族計画V

□あ
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「好きなこと、好きなようにやってみたら?」



「………」



学校の屋上。

後ろからかけられた声にザンザスがグラウンドからそちらへ視線をやれば、そこにいたのは見知った一人の男子生徒――雲雀綱吉。

彼は笑って手に持った二つの缶を示した後、そのうちの一つをザンザスに向かって放り投げる。

ゆるい放物線を描いてザンザスの方へと向かっていったそれは、危なげなくザンザスの手の中に収まった。



「ゴタゴタしてるんでしょ?家」



ザンザスの隣へとやって来ると、綱吉はそう言ってフェンスに体を預け、自分の分の缶の蓋をあける。



「スクアーロから聞いた」



「……チッ」



ザンザスも舌打ちをした後、同じようにプルタブに手をかける。

彼の家は、世界でも有名なとある財閥である。


そして彼はその家の御曹司――なのだが。

しかし彼は、父親と血が繋がっていなかった。

子どものできなかった彼の父が引き取った、いわゆる養子とという奴だ。

そしてそれを理由に、彼は今、家のゴタゴタに巻き込まれていた。



「大人しくしてるなんてザンザスらしくないよ。…やりたいことも言いたいことも、ちゃんとあるんでしょ?」



血は繋がらないとはいえ、彼は立派なボンゴレ財閥の次期社長だ。父の背中は昔から見ているし、実力もある。

少し乱暴な所もあるが、“血”というものを除けば、彼はその跡取り息子として十分すぎるほどのものを持っていた。



「やりたいことやりなよ。…ザンザスなら大丈夫」



そう言って、綱吉はフワリと、まるで全てを包み込む大空のような笑みを浮かべて。



「俺が保証する!」



そう言った綱吉に、ザンザスはフッと表情を和らげた。



「それに…」





阿呆なことしたら、俺が叱ってやるからさ。

(…逆だろ)(あ、その言い方かなりムカつくんですけど)



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