幸せ家族計画V
□く
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「……」
「…進路希望調査?」
「…不二」
とある高校の休み時間。
自分の席に座った状態で景がじっと手元の紙を見ていれば、ひょいと奪われるそれ。
その動きを目で追えば、そこには景から奪った進路調査の紙を見る、不二と忍足の姿があった。
「…返せ」
不機嫌そうに―というか実際不機嫌なのだが―低い声で言えば、あっさりと返される紙。
そのまま不二は景の前の椅子を引いて座り、忍足はその隣に立ったまま景の机の上に戻された紙を見た。
「何やの雲雀、もう迷っとんの?」
この提出まだ先やろ?と言って、トントン、と紙を指で叩く忍足。
高校1年生ということもあり、彼はたいして真面目に考えていないらしい。
まあ学校側も大体の希望調査のために行っているのであり、この時期のこれはさほど重要視していないだろうが。
「俺様はてめえと違って真剣に考えてんだよ」
そう言ってハッと鼻で笑って見せた景に、忍足は「景ちゃんひどいわあ」と返して睨まれる。
そんないつも通りのやり取りを、こちらもいつも通りの笑みを浮かべて見ていた不二は、不意に『進路希望調査』の文字を軽くなぞって。
「でもあれだね。今がずっと続くわけじゃないんだよね」
「……」
「…ま、少なくともあと3年…大学も行くやろうから、その後4年は気楽に過ごせるんやろうけどなあ」
そう言ってヘラリと緩い笑みを浮かべる忍足も、しかし将来に対し心の中では真剣に考えているだろうし、不安もあるだろう。
学生時代を終えれば、気楽になんてやっていけないと分かっているから。
そんな、彼らの誰もが抱いているだろう気持ちをピンポイントで突く言葉を発した不二は、「ま、」と言ってほほ笑みを浮かべ。
下らないこと言って笑い合ってればそれでいいんじゃないの?
(ってことで、景の進路は手塚の所に永久就職で)(もしくはプロのテニスプレイヤーでもええんやない?)(あっおいこら勝手に書くんじゃねえ!!)